あやとり

 今度子ども食堂のイベントで昔遊びを教えるイベントをやることになった。

 湊音が市役所の子供課より推進されたもの……押し付けられたに近いのだが核家族が増えた地域の子供達と子供たちが都会に越して孫との触れ合いが少ない祖父母世代の人たちとの交流にもなるとのことだが。


 伝承遊びを指導してもらいたいと先日ボランティアの祖父母世代の人たちと会ってきたが

「歳とってるからと言って昔遊びが得意なわけではない」

 と言うものがいた。


 とか言いつつも教えてやるか、とその日は伝承遊び大会で大の大人で盛り上がってはいた。


「ボランティアの人たちだけでなく僕らもできるようにしないとね」

「そうね」

 と李仁と湊音は家に帰ってからまずはあやとりを、と本を見ながらやってみるのだが不器用な湊音は断念。


 しかし李仁は本を見ながらだがあっという間にクリアしていく。

 その器用さに湊音は感心してしまう。

「すごいなぁ」

「てへへっ、簡単簡単」

 ドヤ顔の李仁。湊音がそんな彼に

「なんでそんな器用なんだ。あやとり子供の頃得意だったとか?」

 と聞かれて李仁は

「んー、得意と言ったら得意かな?」

 と何か隠しているようなそぶり。


 そんな彼の過去はゲイバーで亀甲縛りのプロ、と呼ばれていた。

 もちろんそのことは教える子供たちにも、湊音にでさえも言えない。

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