一月

正月の朝

「おはよう」

「おはようございます」

 二人は気づけば寝ていて起きたら朝六時半ほど。二人には珍しい早い年明け、正月の朝だ。


「あけましておめでとう、ミナくん」

「あけましておめでとう、李仁」

 と布団の中で言うと目を合わせて笑う。


「もう、布団から出て言おうよ……こう言うの」

「そうだよね、でもいいじゃん、毎年こんな感じだよ」

 と李仁が湊音を押し倒すが湊音が珍しく制止する。


「はいはい、せっかく早く起きましたからリビング温めてくる」

「そうね、今日は早めにおせち食べて初詣行ってー」

「李仁、だんだんスイッチ入ってきたね」

「なによー、もう入ってるわ」

 と湊音の背後に立って身体を密着して腰を振るあたりがいつも通りだ、と湊音は笑った。


「こらこらー。昨晩あんなに……シャワーも浴びたいし」

「一緒に浴びる?」

 李仁はやたらと湊音の首筋にキスをしてくる。あいもかわらずなはじまりだが湊音はのらりくらりとかわしてしまった。


「つれないのー」

 李仁は不満げだが、ストーブをつけカーテンを開けてテレビをつけると出演陣は着物着たりセットは色鮮やかである。


「今日だけだよね、こんなの」

「そうよね、数日経てば元に戻る」


 そんなことを思う正月の朝であった。

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