年越しうどん?
ぐつぐつと夕方から台所で李仁が調理を始める。湊音は横で食材を切る。
午前中は地元の大型スーパーに行ったのだが予想以上の混み具合に驚いた。
関東から来たと言う新しいスーパーだと言うのだが体感的にはコンパクトなコ○トコのような気もした二人。
兎にも角にも肉の質も良く、量も多い。昼ごはんにと2人前と書かれたチャーシュー丼はこの男二人でさえも完食できていない。
「どれどれ、まず牛脂を温めて……そこまでは同じだけどすき焼きの素を三分の一注ぎ込む……」
「そう書いてあるの?」
「そうなのよ、珍しい」
いろんなすき焼きの素はあったのだが唯一紙パックであったのを買ってきたのだがそれにはそう作るのがおすすめと書いてあった。
「で、肉を入れる……すぐ食べなきゃ」
「玉子割るね」
「お願い」
二人のコンビネーションはすごい。もちろんのことだ。
李仁は肉を焼くと部屋中いい匂いで漂う。たまらない。
「さてさてミナくん、先どうぞ」
「そんなっ、李仁が先に!」
「ミナくん」
「はーい」
と湊音は自分の器に肉を入れてもらう。李仁も自分の器に入れた後白菜や椎茸、蒲鉾、糸蒟蒻、ネギ、焼き豆腐も追加していく。
そして煮込みながら肉を喰らう。
「うんまぁ……」
「おいしぃっ」
二人は見つめあって笑う。
「こう言う食べ方もあるんだなぁ」
「知らなかったー、てか肉うま」
「焼こう、もっと」
次々肉を入れ野菜を入れすき焼きになる。そして李仁がチルドうどんを入れる。
「ねぇ、今年からもうこれ年越しそばの代わりにしようよ」
「……え」
「買ったけどさぁ、胃もたれしちゃうし。二人して3月に胃カメラ飲んで嫌だったでしょ」
そう言われて湊音はああ、と思い出す。
「うん、そうしよう」
とうどんも染み込ませる。
ぐつぐつ、コンロからこたつ机のカセットコンロの上に移動してぐつぐつ。
肉はもちろん野菜もぐつぐつ……。絡ませあってお酒も進んで。たらふく食べて二人は微笑んで紅白見ながらキリが良いところで風呂入ってまた紅白をみてる最中で李仁がキスをし始め酔った湊音が舌を絡ませイチャイチャタイムが始まり、気づけばゆく年くる年の放送も始まり……。
「気が散るっ」
湊音が悶えながらテレビを消して年を越した、いつもの年越し。
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