第8話 エリザベス女王杯(レース)

 白馬に乗った馬がエスコートをして、競走馬たちが芝へあらわれてきました。

 この馬達が争う。


 ファンファーレと共に熱気が伝わってきました。


 ぱらららっぱ ぱっぱらー ぱっぱぱぱぱらー

 ばーっぱっぱらーぱ ばーっぱっぱらーぱ

 ぱーー ぱぱぱぱーー


 ――うおおおおおおおーーー!!


 拍手喝采。

 エリザベス女王杯開幕です。



 ――ただいま全馬ゲートに着きました。

 ゲートが開いた。


 ――全馬一斉にスタートです!

 レースが始まった。



「いいぞ!出だしは悪くない」

 雫の賭けた馬は後方3番手。差し馬だから後方にいくのは仕方がない。


「いけいけ!」

「まだ先は長い、焦るなよー」

「あの先行馬は速いなー」


 逃げ馬がレースを引っ張り、比較的早いレース展開となっている。

 第一コーナー、第ニコーナー。

 まだ仕掛ける馬はいない。ここまでは逃げ馬の独壇場。


 早いレース展開。

 第三コーナーへ差し掛かると、逃げ馬が段々と後退してきた。


 しかし、雫の賭けた馬の順位は後ろの方のまま。

 そして、第四コーナー、最後の直線。


 そこで見せてきた!

 末脚がすごい!

 馬と馬の間に開いた僅かな隙間を猛然と駆け上がる!


「上がってきた!」


 雫の肩に下げたラジオから実況が聞こえてくる。



 ――これは、面白いレース展開だ。

 一頭上がってきたぞ!

 ここで来るのは、少し早いのではないか?

 本当に、このタイミングでいって良かったのか、早い早いぞ!


 コレハユメオチ!


 早い早い。順位を上げてきた。

 まだまだ先は長いはずだぞ。ゴールまではまだあるぞ。

 それなのに、本当にこのタイミングでいってよかったのか。

 早すぎないか。ここでいって大丈夫か? このまま最後まで駆け抜けるのか。


 このまま、コレハユメオチが逃げ切るのか。

 コレハユメオチ!

 この馬は、12番人気だ!

 早いぞ! 早いぞ!


 いや、もう一頭後ろから来ました。

 こいつも凄まじい勢いで来たぞーーー!



 サキニオチヲイウナーー!



 早い、早い。コレハユメオチを抜かしそうだ!

 この馬は、13番人気。ここまで末脚があるとは。

 このまま、この二頭で決まってしまうのか。


 コレハユメオチ!

 サキニオチヲイウナー!


 どっちが先にゴールするのか!

 どちらも負けていない。


 いや、ここで別な馬も一気に上がって来ました!

 最後の最後に来てくれました!

 こいつが来てくれてよかった!

 待っていました!!


 パロディゴメンナサイーーー!!


 後方から一気に差してきた!

 早い早い! そして、そのままの勢いで差し切ったー!!


 パロディゴメンナサイーーーー!!


 順位確定まで、 しばらくお待ちください。


 荒れる試合。

 ゴールの瞬間、やはり馬券が飛んでいた。


 ――レースをご覧の皆様、馬券は飛ばさないようお願いします。

 順位確定までの時間、面白いと思ったら星を入れてくださいませ。


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