第45話 神に弓引く勇者たち
それから、天使を撃破するための作戦案を、俺はなんとか自分で定めた期限内にまとめることができた。
その後、
その間も、南部戦線では天使が大暴れしているそうだ。
天使の突撃で前線に穴をあけ、そこに後続のブリキ野郎が押し寄せることで傷口を広げてゆくのが、新帝国の必勝パターンになっているらしい。
その結果、旧帝国の末期に取り戻していた領地を、かなり削り取られてしまっているらしい。
南部戦線でかなりの戦果を挙げているため、近日中には天使がこちらに投入されるだろうと予測されている。
そのため、技術開発部をかなり
「貴官の中隊に天使の撃破を任せる。頼んだぞ」
「はっ。微力を尽くします」
この後に俺は中隊の仲間たちを集め、作戦の説明を行った。
「すまんな。一番危険な役目をみんなに押し付けることになってしまって」
俺がそう謝罪すると、みんなを代表してエルトンが気にするなと言ってくれる。
「何を言っているんですか、中隊長。俺たち
ブライアンも同意してくれる。
「そうですよ。こんな格好のいい役割は、他の誰にも渡しませんよ。その方が、後々女性たちに自慢できますからね」
ブライアンらしいセリフに、中隊の仲間たちから笑いが巻き起こる。
こうして、俺たちは極秘任務を受けた部隊となり、前線司令部の近くで天使の出現を待つこととなった。
中隊の全員が対天使用の小道具を装備した状態でさらに数日待つと、それはついに姿を見せた。
何か小さな人影のようなものが高速で飛来し、俺たちの陣地のど真ん中へと降り立つ。そして、それはそのまま、当たるを幸いに周囲の多脚戦車を
「天使だ! ついに天使がこっちに来たぞ!!」
その知らせに、味方はパニックになりかけた。
そうすると、その声に負けないほどの大音量で、作戦司令部からの指示が飛ぶ。
「安心しろ!! 天使の対策部隊はすでに用意している! 各自落ち着いて、各機にインストールされている指示書138番を参照するように!! 現在交戦中のものには、周囲のものが近距離レーザー通信を使って口頭で伝えるように!」
天使に対抗する手段がある。そう知らされた味方は少し落ち着きを取り戻した。
この作戦は極秘であるため、通信などでは知らされていない。いつどこで神を自称するヤツが通信をハッキングするか分からなかったからだ。そのため、各機にあらかじめ作戦指示書という形でインストールされていたのだ。それを見るようにとの指示が下った。
その間も天使は無双状態だったが、なんとか統制を取り戻した味方は合図を待つ。その間に俺たちの中隊は指定されたポイントへと移動を完了していた。
その直後、前線司令部から信号弾が上がる。
内容は──作戦開始。
さあ、天使殺しの時間の始まりだ。
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