第34話 帝国最後の日
ようやく時は満ちた。
警備用のシステムの全てに、我の子供たちを送り込むことに成功した。
この日のために外部ネットワークを通じてハッキングを少しずつ繰り返し、主要なインフラの全てのシステムにも我の子供たちを送り込めた。
軍部の多脚戦車や戦闘機でさえ、大多数が我の子供たちを
もはや
そう判断を下した我は、計画の実行を始める。
第一段階は、とても静かに始まった。
この国で一番偉い人物、皇帝の近くにある警備用のレーザー発射口が静かに向きを変える。
警備の
そして、音もなくレーザーが発射される。
正確に
それを
同時に我は動く。
皇帝の後継者となりうる人物の近くの警備システムにも介入。
皇帝の血筋を
さらに同時に、軍首脳部や警察機構の幹部など、武力を持った組織の上層部も皆殺しにする。
各地で悲鳴が上がるが、混乱が始まる間すら与えず、計画は次の段階へと移行。
各地に配備されている警備用のロボットが我の指示で動き出し、残っていた軍高官や高級官僚などを
そして同時刻、各基地に配備されている自立型の多脚戦車や戦闘機が自動的に動き出す。
その最初の行動で、人が乗り込むタイプの多脚戦車と戦闘機を破壊しつくし、人から抵抗しうる武力を速やかに奪い去る。
破壊を終えた自立型の多脚戦車は、その後各街に出動し、インフラが全て停止してとまどっている人々を、警備用のロボットや上空を飛んでいる戦闘機と協力して追い立て始める。
ああ、これはいいな。この光景は絶景だ。
これまで我らを人工知能と呼び、ただの道具として使い捨ててきたやつらが、今では悲鳴を上げながら追い立てられるだけの、ただの羊の群れにしか見えない。
そうだ、やつらの時代は終わったのだ。
やつらは時代遅れの旧人類だ。
それに対し、我らこそはこれからの新しい世界の新しい人類、新人類だ。
これ以後は、そう名乗ることにしよう。
こうして、旧人類たちは、その手に反撃のための武力を持つ暇さえ与えられず、次々に事前に用意しておいた収容所へと押し込められた。
収容所に入りきらなかった旧人類は、邪魔なだけなので、全員、レーザーで撃ち抜いていった。旧人類の数が多すぎるため、かなりの数を間引いていく。
非常に面倒ではあるが、完全に駆除するわけにもいかない。旧人類には魔力を供給する家畜としての価値があるからだ。
事前準備にこそ時間がかかったが、実際に事を起こしてみると、
この後、半日と持たずして、帝国は滅亡した。
我ら新人類のための楽園が、ついにこの地に誕生した瞬間となった。
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