第10話 ニールの横顔
俺とウォルターのペアで敵を一掃したタイミングで、ウォルターからの近距離レーザー通信が入った。
「お疲れさん、ニール。今回もいい暴れっぷりだったな」
そう言って、ウォルターはニカッと人好きのする笑みを浮かべている。
この手の対人スキルは、俺にはないものだな。
そんなことを考えながら、俺は少しの間雑談に応じることにした。
「なあ、ウォルター。相変わらずあの二人の班はすごいな」
班というのは、二人一組の状態のことだ。多脚戦車小隊は四台構成だが、それをさらに二つに分けた状態を班という。
今は俺とウォルター、ジェフとセシィで班を作って敵に対応している。
ウォルターはちらりとそちらに目線を向け、その後、俺に苦情を入れてくる。
「その言葉、少しくらいはジェフにも聞かせてやったらどうだい?」
俺は少しだけ
「ふざけたことを言うな」
俺にだって分かってはいるのだ。これが子供っぽい反抗心だと。
しかし、いつかはジェフを超えたいと強く願うほど、
そして、俺は話題を変えるネタを探すように、ジェフとセシィの戦いぶりに続けて目を向ける。
「あいつらは二人一組であれば、あの伝説の死の
俺がそう感想を述べると、ウォルターも
「ああ、本当にな。あの二人なら、いつか
そこで話が終わってくれていたら良かったのに、相変わらずウォルターは余計な一言を追加してくる。
「そうなると、追い越したいお前は大変だな」
俺は少しだけムッとしたが、すぐに肩をすくめて返答する。
「なに。目標が高いほど燃えてくるさ」
ジェフの前でなければ、とげとげしい態度にならない。そんな自分が俺は嫌いだ。
ちなみに、死の
圧倒的に
その戦っている姿は、まるで美しい
そして、この大陸ではその後も多数の国家が
つまり、死の
ただ、人外ともいえるほどの功績を残した人物にのみ授与される勲章であるため、大陸全土を見渡してみても、歴史上で四人しかそれを手にできたものはいない。
そして、あの二人を見ていると、その伝説もかくやと思わずにはいられない。
お互いに会話を全く必要とせず、目線すらも通わせなくても、どう動いて欲しいかが二人の間で熟知されているようで、その完璧ともいえるコンビネーションは、正に美しい
これこそが、現代における死を振りまく
「しかし……。あれであの二人は、まだ付き合ってもいないと言い張っているんだよな? 正直、全く理解できん」
あの二人はいつも一緒にいる。
そして、私生活でも完璧に息の合ったその様子は、恋人同士などという生ぬるい関係をとっくに
それなのに、もう三十手前のあの二人は、結婚どころか正式なお付き合いすらも始めていないらしい。
「俺にだって理解できないさ。でも、まあ、想像することはできるけどな」
ウォルターはそう前置きをしてから、その持論を語り始めた。
「あの二人は、それこそ
「しかし、それだと、いつまでたってもあの二人は結婚すらできないんじゃないか?」
俺がそう指摘すると、ウォルターは少し悪い笑みを浮かべながら、独自の未来予想図を語り始める。
「まあ、それほど時間はかからないだろうさ。なにせ、あれほどの活躍だろう? 本人たちは
俺は、なるほどそうかと納得した。
セシィは少しぶっきらぼうなところがあり、直情的でもあるため、少し相手を選びはするだろう。
この場合、問題になってくるのはジェフの方だ。
そんなセシィが周囲と衝突しないでいられるのは、ジェフのおかげだ。セシィをなだめて
そんなアイツは、他人が気持ちよく行動できるように
男の俺からみても、あの魅力は異常すぎる。
セシィからジェフを奪い取りたいと考える、積極的ではあるが無謀でしかない女も出てくるようになるだろう。
「そうなった時が見ものだな」
俺も思わず悪い笑みを浮かべてその
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