森の隠者と火の妖精に呪われた町4
「金色の虹彩の赤い瞳の持ち主は、すべからく火の妖精の愛し子だ。愛し子を侮辱され、彼らの司る"火"を災いと言えば、火を取り上げられて当然だろう。自分たちでいらないと言ったものを、取り上げられて何故怒るのか理解できない」
「なっ…….」
「しかも彼女はすべてを取り上げようとした火の妖精を
「だがっ!」
「発言には気をつけたほうがいい。先程から自分たちの愛し子を侮辱されている火の妖精が怒っている。彼女との約束だから完全には取り上げられることはないが、扱える火はどんどん小さくなるぞ」
男は周りを見回した。
火の妖精たちは皆男をにらみつけている。
「何でだ!? 何で事実を言って火の妖精が怒るんだ!? おかしいだろう!」
まだ自分の思い込みが、伝承が正しいと思っている男に呆れる。
「お前たちは、自分の大切な者が侮辱され、理不尽に責められても腹立たしくはないのか?」
「それは……。だが!」
「だが、何だ? 自分は怒るが火の妖精には我慢しろ、とまさか言うつもりか?」
「それは……」
口ごもる男は指摘されるまで無意識にそう強要しているとは気づいていなかったようだ。
ただ感情と折り合いをつけるのが難しいのだろう。
反論したいのにできない
「いい加減にしろ!」
町の住人の一人が怒鳴った。
一人が怒鳴ればもう止まらなかった。
「そもそもお前のせいじゃないか!」
「今まで食堂が燃やされたから可哀想だって思っていたがもう我慢ならん!」
町の住人たちが男を非難し始める。
我慢の限界が来たようだ。
扱える火が小さくなって蓄積された精神的・肉体的疲れも相当あるのだろう。
だが、男だけを責めるのはお
扱える火が小さくなったということは、本人たちも火の妖精の愛し子を非難したり恨んだりしたということなのだから。
それにしても、火事で店を失ったか。
それで余計に彼女を憎んだということか。
特に同情はしない。
彼女が放火したり、原因でなければそれはただの逆恨みに過ぎない。
火の妖精が先程彼女は何もしていない、子供たちを助けただけだと言っていたから本当にただの逆恨みだろう。
そこでそういえば、と子供たちに視線を向ける。
ここにいることからして彼女が助けたのはこの子たちなのだろう。
「その子供たちは?」
騒ぐ大人たちを遠巻きに見ていた子供たちが自分たちのことかと緊張する様子が見えた。
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