森の隠者と火の妖精に呪われた町2
だが、先程火の妖精の怒りを
「あいつが来てから全てが悪いほうに進んだ!」
「では聞こう。具体的に彼女は何をした?」
「何って……それは……」
『あの子は何もしてないよ!』
『むしろ子供たちを助けてたよ!』
『自分たちは見捨てたのに!』
火の妖精たちが次々と怒りの声をあげた。
「火の妖精、落ち着け。話は後でちゃんと聞くから」
パーシファル・パーンがそう言うと、渋々といった様子で火の妖精は黙った。
「何で火の妖精たちの話を聞くんだ!?」
また先程の男が噛みついてくる。
パーシファル・パーンは溜め息をつきたくなった。
「火の妖精の呪いをどうにかしたいんだろう? それなら火の妖精の話を聞くのは当然だ。彼らが
ぐぐっと男が押し黙る。
その様子を見ながら、この男も原因の当事者の一人なのだろうな、と思う。
彼が発言するたびに火の妖精たちの顔が険しくなっていく。
「それで、彼女は何をしたんだ?」
町の住人たちはお互いに顔を見合わせるが何も言わない。
先程火の妖精が言っていた通りなのだろう。
だが一人だけ状況をきちんと把握していない者がいた。
先程から彼女を
男は決定的な言葉を放った。
「あいつは存在自体が害悪だ」
「落ち着け! 火の妖精!」
間髪入れず叫ぶ。
『だって!』
『そいつはあの子のことを侮辱した!』
『許せない!』
「
火の妖精も人間もどちらもその声に
「ここは私が預かっている場だ」
その声に宿っている力が逆らうことを許さない。
「調停の場だ。双方の言い分はきちんと聞く。この場での争いは許さない」
双方がしんとなる。
さすがに先程から騒いでいる男も口をつぐんだ。
ようやく静かになりほっとする。
皆が彼の動向を窺って静かにしている間に素早く思考を巡らせる。
一番の元凶となっているのは、最早疑いようもなく先程から火の妖精の愛し子を罵っている男だろう。
何があったかは知らないが、あまりにも彼女のことを敵視し過ぎている。彼女自身が何かしたわけではなさそうなのに、だ。
根底には何か根深い思い込みがあるようだ。
それがさらに火の妖精の怒りを買っているのだろう。
先に人間側の話を聞こうと思っていたが、このままでは火の妖精の怒りが大きくなるだけだ。
人間側に今の状況の理由と火の妖精が
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