ブスの萩野

プロローグ

萩野はブスだ。

よくある自称ブスだけど普通に可愛くね？的な展開はない。

なんというか、もう完璧にブスだ。キングオブブス。ブスの中のブスである。

こんなにブスブス連呼して、俺はさぞ性格の悪いやつだと思われているだろうか。

だが、自分で言うのもなんだが、そんなことはは無い。

俺は割と気のいい方だし、友達も結構いる。

優しい、と定評もあったりする。

そんな俺がここまで言うのだから、萩野の顔の想像も出来るだろう。

あたまの中で、ブスと聞いて思いつく特徴を合成した顔をイメージして欲しい。

そんなイメージとほとんど変わらない顔面をしているのが萩野だ。

俺の言うブスなんて、まだいい方だ。

ある奴はあいつを顔面兵器と呼び、ある者はあいつを顔面イカレ野郎と呼ぶ。

そして、誰もそれを咎めない。

みんな、心のうちでその言葉に共感してる。

どれだけ萩野がブスか、わかって貰えただろうか？

ただ、誤解しないで欲しい。

確かに、あいつはブスで酷いあだ名まであるが虐められてる訳では無い。

あいつは、そんなあだ名なんかで傷つくような心は持ってないし、むしろ自分からそう名乗っちゃってたりする。

ある種の誇りを自分の顔に持っているのではないか、と思う。

長くなったが、ともかく俺がブスブス連呼して、全国の萩野さんを敵にまわして？まで伝えたかったのはこういうことだ。

「ーー人は顔だけじゃない」

何度もきいたことのある言葉だろうし、所詮綺麗事だと思っている人も多いだろう。

実際、俺もそう思ってた。

でも、これ以上ないくらいブスの萩野ですら胸を張って生きて、結婚までしてる。

ブスでも、人生を楽しんでる。

人生どんな顔でも何とかなるんじゃないか？

こんな時代に、こんな無責任なこと言って悪いが、訂正はしない。

漫画でよくありがちなパターンになってしまったが、 どうか聞いてくれないだろうか。

人は顔だけじゃない、ということの証明を。

萩野の人生を。