第10話

「くっこのっ」


「おらっそこだっ」


 なおも襲ってくる執事二人をスルンッと逃げ続けていると。

 何やら行き止まりに来てしまった。


 周囲を壁に囲まれ目の前には扉が一つ、前の部屋に逃げこめばどうにかなるか?

 いやでもなんかこの部屋嫌な予感がぷんぷんするんだよなぁ


「ふっふっふ、ようやく追い詰めたぞ小僧!さっきからキモイ動きで逃げやがって」


「もう逃げられませんよ、今その首折ってあげます」


 執事二人が危ない目をしている。なぜかここまで逃げてくるときに僕へのヘイトが増えている気がしている。なぜだ?


「何、この人たちこんなに怒ってるんだろうって顔してやがる!お前さっきから逃げながら、”そんなことで執事って勤まるんですか?”とか”やっぱ老眼ってつらいんですか?年は取りたくないものですね”とか散々俺らを煽ったせいだよ!」


「はっはっはっ」


「何がおかしい!」


 それはともかく、どうしようかなさすがの僕もこの状況は危ないかもしれない。

 ていうかなんで僕がこんな目に合わなければいけないのか、全部あの先輩が原因ではないだろうか、クッソいつかひどい目に合わせてやる。具体的には靴箱の中の靴を向きを反対に入れ直してやる、想像しただけで…はははっ


「何をしているの?あなたたち?」


 想像してたらご本人登場!?

 なんと正面の部屋から先輩が出てきた。


「「「お嬢様!?」」」


「なんであなたまで私をお嬢さまと呼んでるのかわからないけど、準備は終わったから。さっきの部屋に戻りましょ。あなたたち二人も一緒に来なさい。」


「はい、お嬢様」


「お、お待ちくださいお嬢様。っその男を本当に…「何かしら」…いえ、なんでもございません…」


 えっ何今の顔こわ


 というわけで結局最初の部屋に戻ってきましたー


 なんだこれ完全に今の下りいらなかったじゃん。なんのために俺は走ったんだ…

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