第9話
「追い付いたぞ小僧ぉ!」
「なかなか速かったですね。」
角を曲がり僕の背中をとらえた二人の執事は走ってきたというのに息を切らした様子もない、僕程度ならその程度の走りで追いつける算段だったらしい。
実際追い付かれているしそのことに腹を立てることはない、でも少し僕をなめ過ぎだ。
「さあ、鬼ごっこは終わりだぜ」
とおっさんが僕の肩に手を置こうとする。
が、スルリと空振りに終わる。
「っこの後に及んで抵抗する気か?」
と今度はさっきよりも少々乱暴につかみかかってくる。
が、またもスルリと空振り。
「まったく何をやってるんですか先輩、こんな歩いてるだけの相手に。ついに老眼がここまで…」
と後から来たオトコ女が僕の首根っこを掴もうとする。
が、またもやスルリ。
「「ん?」」
二人そろってやっと気が付いたようだ、これこそが僕の秘奥義
”スルリ抜け”だっ!
これは僕が小学校のとき、強引に鬼ごっこに参加させられ、鬼になりたくは無いが逃げ続けるのも嫌だったときに思いついた技だ。
相手の手や足がこちらに迫ってくるの肌で知覚し、風に木の葉吹かれるようにするりと避ける技だ。
この技のおかげで僕はみんなで遊ぶときにハブられるようになった忌むべき技でもある。俺をそんな目で見るんじゃねぇ!
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