第8話

 唐突に表れた二人目の執事はおっさんだった。

 黒縁眼鏡にパサついた髪質と日焼けた肌、整った顔立ちをしているがその表情は何となく胡散臭い。


 若いころは派手に遊んでたんだろうなというのが分かるおっさんだった。

 あと眼鏡は映りこむ景色の曲がり具合から言って老眼のためのものだ。


「困るなぁ、焦り過ぎだぜ後輩。いつも言っているだろ男だったら何事も余裕を持たないとってな」


「私は冷静です。あと、男じゃないです。次私を男呼ばわりしたらその腰の物切り落としますよ。」


「じゃあ僕は眼鏡かち割るよ。」


「いやこわいわっ…ってなんで君まで参加してるの!?僕君に何かしたかな!?どちらかというと助けたと思うんだけど!」


「えっ…なんか唐突に出てきたくせに恩着せがましいなこのおっさん。いつもこうなんですか?」


「そうなんです、いつもことが終わってから意味ありげに登場して、おせっかいな一言を言って去っていくんですこのおっさん」


「君たちめちゃくちゃ息あってんね、共通の敵ができて意気投合してんじゃねえ!」


「まあまそう叫ばずに。飲み物持ってきますよ。」


「お、おう。ありがとな…叫ばせたの君のせいでもあるんだけどね」



 と言って僕は部屋の外へ出た、はっ馬鹿が


 えーと、玄関はどこだ?


 部屋を出て数秒後、背後からどすどすとこちらに向かって走る音。

 すかさず僕も走り出す。


「ちぃっもう気が付いたか。意外と頭いいじゃないか」


「聞こえてるぞ!いくら何でも馬鹿にし過ぎだろ!」

 聞こえてきた音量からして曲がり角二つ分ぐらいか?


「私は彼の作戦に気づいていたので馬鹿ではないです。訂正してください先輩」


「気づいてたんなら最初っから止めろよ馬鹿野郎!!」


 声からしてもう数メートルもない、彼らが次の角を曲がったときには僕の背中をとらえるだろう。


 どうしようかな… なんか走るのもめんどくさくなってきた…



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