第7話

 部屋内に扉をノックする音が響く。


「どうぞー」


 僕が声を掛けてから入ってきたのは、執事服を着た男性?だった。


「執事見習いを務めております江波と申します。お嬢様がご支度なされている途中ではございますが、少々お話したいことございます。」


 声を聴くまで確証は持てなかったが執事の江波さんとやらは女性のようだ。確かに言われてみると体つきが女性よりに見えなくもない、顔は中性的と言うのだろうか切れ長の目が少々怖い。


 しかし話したいことって何だろうか、もしやお前みたいな人間はお嬢様の近くにいるのはふさわしくないから、今のうちにさっさとされ!みたいな話だったらどうしようか。いやいやそんなマンガじゃないんだから、きっとこの家にいる間の注意点とかでしょ、僕にしてはちょっと考えすぎだったね。


「お前みたいな人間はお嬢様の近くにいるのはふさわしくない、お嬢様が戻ってくる前にさっさとこの家から出ていっていただきたい。」


 江波さんの口から出たのは、嫌悪感が隠しきれていない慇懃無礼なそんな一言。


 わお、ここまでフラグを建てた僕もそうだけどここまでテンプレートどうりなセリフも珍しんじゃないだろうか。

 きっとこの執事さんは幼いころから先輩と姉妹のように育てられ、仲を育み、今では娘のように彼女の周囲に眼を光らせているのだろうな。


 …百合っていいよね。


 それはともかく、


「あ、わかりました。それではお邪魔しました~」


 あっちが帰らせてくれるっていうなら願ってもないってやつだ

 彼にターンを決めてその勢いのまま執事さんの横を流れるように走り去り…


「って、ちょいちょーーーい!待って待って、お嬢様の御客を勝手に帰らせたなんて知られたら俺が起こられるんだから。ほんとマジやめてくれって!」


 唐突に登場したのは二人目の執事、ナニコレ今度はこの人の相手しなきゃいけないの?四天王形式?

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