第6話

 俺が助けた?女子生徒の家に着くとそこにはでかい日本家屋があった。


 古式もゆかりも知らないが、歴史があるんだろうなと言うことはなんとなく分かる。




 帰ろうかな…


 まるで磁石の同極のように先輩の家に近づくほど帰りたい意思が強くなり歩みは遅くなる。なんだこれ。


 あーやだやだ、なんでこんなめんどくさいことになったんだろ。


 僕の前を歩くこの先輩を助けたのが原因か、助けなければよかったなんて思うことはないけれど、もっと姿を隠した形であの場を修められなかっただろうか。


 そんな益体もないことを考えていると、手のひらに柔らかい感触。


 手元を見ると先輩に手を握られているではないか。


「君、歩くのが随分遅くないかい?それになぜか足音もないし、どうなっているのそれ?」


 どうやら先輩は省エネモードの僕をせかすために手を引っ張っていくつもりらしい。

 丁度いいやこのまま連れて行ってもらおう、そうしよう。


 それにしてもでかい家だなぁ。かくれんぼとかしたら僕みたいな人間は一生見つからないんじゃないんだろうか。あっその前にみんな僕のこと忘れちゃうか、おい言って良いことと悪いことがあるぞ。


 僕が脳内で独り相撲をしていると、庭の入り口から歩いて1分ほどやっと玄関についたらしい。いや庭広すぎじゃない?そんなに広くしてなんか意味があるのだろうか、金持ちの考えることはよくわがんね。


 そのまま手を引かれて連れられて来たのは細長いテーブルとそれに合わせて椅子が10個ほど並んだ広間。


 でっけぇ~~~


 こんな部屋を個人が持ってんの?


「ここでちょっとの間待っていてほしい、すぐにウチの者がお茶と菓子を持ってきてくるから。」


 というとこちらが返事する前に先輩は部屋から出ていってしまった。

 あの人には人の話を聞くということを教えた方がいいな。体の隅々に教え込んでやろうぐっへっへ…おや?




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