第25話

「ジェノム侯爵、随分といいことを考えたじゃないか! 最高だったよ!」


「えぇ、あの息子どもの顔と言ったら、今思い出しただけでも笑えてきますよ!」


 発表後、談話室でジェノム侯爵と2人で話している。


 僕とジェノム侯爵の退場が最も早かったため、ジェノム侯爵の家族たちはこの後やってくる予定だ。


「そして、ここに僕がいるのも言っていないと」


「えぇ! 最高でしょう!」


 といってがははと笑うジェノム侯爵。


 おぬしも悪よのぉ……。







 まあこのように僕とジェノム侯爵は結構仲がいいのだ。


 そんな感じで笑い合っていると、ノックもせずに勢いよく扉が開いた。


「父上! どうして言ってくださらなかったのですか!」


 最初に飛び込むように入ってきたのは、ジェノム侯爵の息子であるネリウス君だ。


「そうですよあなた。一声掛けてくださってもよかったのでは?」


 続いてやってきたのがジェノム伯侯爵の奥様、レアトリゼさんだ。


「むーッ、お父様ひどい」


「私も言ってほしかったです」


 そういって入ってきた次女と長女の2人。


 なお名前は知らない。


「あれ? お父様その方は?」


「こらレニ! おまえはさっき何を見ていたのだ!」


 どうやら次女の名前はレニと言うらしい。


 何歳くらいだろうか。


 見た目では5歳くらいに見えるけれどもよくわからない。


 多分5歳で合っているはずだ。


「レニちゃん、こんにちは。僕の名前はレイフォースだよ。よろしくね」


 そういって手を差し出すと、何もわかっていないレニちゃんと、ニヤニヤの隠せていない腹黒男(侯爵)を除くレスタン侯爵家の皆様は目ん玉が飛び出るのではないかと思うほどには驚いていた。


 あー、面白い。


「で、お父様、どなたなのでしょう! お父様の部下の方ですか?」


「レニ! 何を言っているの!」


 あ、母が切れた。


 さすがに少しやり過ぎたかもしれない。


 さすがにレニちゃんがかわいそうになってきたので、ここは少し僕が割り込むことにした。


「奥様、いいのですよ。すこしやり過ぎましたね」


「レニ、この方はこの国の王様だよ。さっき玉座に座っていただろ? はぁ……、おまえはもう少し勉強の時間を増やすべきなのかもしれないな」


「お、王様! ほんとに!?」


「そうだよ。よろしくね」









「まあ、こんな感じでジェノム侯爵には宰相を任せることとなりました」


 立ち話も何だしということで、ひとまず椅子に腰を掛けてもらうことにした。


 レスタン侯爵家の皆さんはジェノム侯爵の影響か、ユニークな方が多くて非常に親しみやすい。


 さすがにククレアほどではないけれど、ククレアを少し感じるような、そんな感じがする。


「で、お父様、どうして言ってくださらなかったのです?」


「いやぁ、そちらの方が面白いと思ってな」


「面白いって! 掛けられる側の身にもなってください! 私倒れるかと思いましたよ!」


 長女に詰められるおじさん。


 ふむ、なかなか面白いではないか。


「まあ、これに関しては僕も悪いと思っているんだ。せめてもの罪滅ぼしということで、今日はここでゆっくりしていってほしい」


「ああ! みんなで王宮お泊まり会をしようではないか!」


「あなた、王宮お泊まり会って……、もしかしてこれも打ち合わせ済みですの?」


 ……。








 次女の名前はミラトルテと言うらしい。


 どうやらいまは学校で魔術を練習しているらしく、どうも僕と魔術に関して話してみたいらしい。


 ということでほかのレスタン侯爵家の方が王宮をほっつき歩いている間に少し話してみることにした。


「お初にお目にかかります。私はレスタン侯爵家が長女、ミラトルテ・レスタンと申します」


 先ほどのことをどうやらなかったことにしたいようで、挨拶からスタートだ。


「よろしく。ミラトルテ。で、早速あれなんだけど、もしよかったらこの場にもう1人魔術に秀でたものを呼んでも良いだろうか」


「はい」


 そういうと、先ほどから談話室の外で待機してもらっていたとある者に入ってきてもらうことにした。


「初めまして。私はククレア・アインガルドと申します」


「お、王妃様!」


 多分魔術に関しては僕よりもククレアの方がいいと思う。


 同性だし、僕よりもククレアの方が魔術に関しての腕は高いから。

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