第十六話 ダインスレイヴ
「はぁはぁ。やるじゃねぇか。お前。」
「ククククッ。」
シスターは嘲笑するようにアヴナを見やる。
(クソ。コイツ動体視力も身体能力もバケモンだな。それに何だ、あの禍々しい剣は。)
すると察したのか、シスターがその剣を前にかざし、
「これは、ダインスレイヴ。あなたの血を吸い尽くす魔剣です。一度鞘から抜ければ生き血を吸うまで戻らない。そう、あなたの血を吸うまでは。」
シスターがニヤリと嗤う。だがしかし、
「マヴナっ!!」
シスターが振り返った方向に隆慈がいた。シスターがピクッと反応する。
「あなた?誰ですか?何しに来たんですか?何の用事ですか?邪魔しに来たんですか?、、、、、、、、、、。邪魔しに来たのなら、、、、、、、、、、、、死んでください!!!」
ダインスレイヴを持ってシスターが斬りかかる。
俺はヒュドラーから継承された筋力でその攻撃を躱す。
シスターが振り返って怪訝な顔をする。
「あなた?何故避けたのですか?何故回避したのですか?何故躱したのですか?何故救済を拒むのですかぁああああああああぁあああああああぁああああああああああぁあぁぁあああああああ、、、、、。」
シスターは絶叫しながら縫われた糸を指で引き千切っていき、顔から血が吹き出る。
「あ、な、た、を、じょ、う、か、し、ま、す。」
機械的な声でそう呟いたあと、一瞬で俺の背後に回られる。
「じょーか。じょーか。じょーか。じょーかーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
剣を振りかざすシスターに俺は咄嗟に毒の波動をお見舞いする。だがその毒の波動をもろに喰らいながらそのシスターは向かってくる。その勢いは止まらず、波動を出した右手が
ザクッ
「ぐぁあああああぁあああああぁああああああああああああああああ。」
俺の右手が切断され地面にぼとりと落ちる。
シスターがそれを見てほくそ笑む。
「じょーか。じょーか。じょーか。じょーか!じょーか!!じょーか!!!」
シスターはエクスタシーで体をブンブン回し、目は白目を剥き、失禁し、手を広げ、天を仰ぐ。
「トドメ。じょーか。トドメ。、、、。」
シスターはふらつきながら剣を引きずり、うずくまる隆慈に近づく。そして剣を振り上げ、
「じょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーかぁああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
振り下ろすがその剣が
突如として宙でとまる。
シスターの心臓がより強い鼓動を刻む。
そしてシスターが
「おうえぇええええええええええぇぇぇえええええうぇえええええB-):-*:-!:-Po:-):-P;-):-P:-D:-[:-(:-\:‑X:-!」
胃の中身を空にするほどの量を口から吐き出した。少し血も混ざっている。
隆慈が立ち上がる。
「隆慈!!!」
マヴナが呼びかけるが返答が返って来ない。
よく見ると隆慈が
(笑っている?)
そしてその瞬間強烈な異臭と恐怖が場を支配した。
右腕を失った隆慈はゆっくりとシスターに近づく。
そしてシスターのダインスレイヴを足で踏み潰してこう言った。
「どおだぁあ。おれのどくのあじはぁあ?」
シスターは目を見開き、縫う糸を失った顔を恐怖で歪めながら、
「神は我々のみ、、、、、、」
その瞬間、切れ目から右手が音を立てて再生し、シスターの首を絞める。
「ごちゃごちゃうるせーんだよおまえ。
神がなんとかどうでもいい。ただ事実なのはぁ。
お前が今ここでしぬってことだぁ。
」
そう言って、首を絞めている右手とは反対の左の手をシスターの口から喉元に突っ込む。そして、その左手から毒の波動をシスターの体の中に放った。
シスターの体からは汗が吹き出し、涙が溢れ、痙攣し、両手で抵抗しようとするがそれも虚しく、容赦なく毒を体に注入し続けた。
だが
「やめろおおおおおおおお」
アヴナが隆慈を押し倒す。
「やり過ぎだ。隆慈っ!!
自分を見失うなっ。今のお前は本当の隆慈なのか!」
隆慈とアヴナの目が合う。
「本当の自分?」
隆慈はシスターの方を見やる。
自分が毒の波動を注入し続けたシスターは体を震わせ、苦痛に悶えていた。
それを見て隆慈は自分のやったことに恐怖を覚える。
「あれは?俺がやったのか?」
アヴナは無言で頷く。
「ああああああああああああああああああ」
隆慈は叫ぶ。だが悲劇は止まらない。
シスターは砕けたコンクリートの欠片を手に取り、自分の首元にあてがう。
「我が魂は主の元へ。」
そう呟いて、喉を掻き切った。血が噴き出し辺りが赤に染まる。
シスターは死んだ。
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