第十四話 狂刃


「あひゃ。あひゃひゃひゃひゃ。あひゃひゃひゃひゃ。あひゃひゃひゃひゃ。」

女は剣を勢いよく引き抜き、それを目を丸くして眺める。

そして、縫われた口をさらに彫りを深くすると剣を構える。

「きぇえええええええええええええええええぇえええぇええええぇえええええぇええええええええええええええええええ」

絶叫しながら女が突進してきた。


咄嗟に受け身をとるが面食らって怯む。

その隙に女はフラガラッハに何度も何度も剣を打ちつける。


「馬鹿野郎!そんなに打ちつけたら、剣が刃ころびするじゃねぇか。」


そんな叫びもよそに、女は向かってくる。

アヴナは体勢を建て直すべく、力を込め、やって来る女を弾き飛ばした。


女は身軽に足で地面を蹴って宙を舞い、着地した。女の足裏から煙が上がる。


「おめぇどこのどいつだ?なんのためにこんなことしやがる。俺の邪魔すんじゃねぇ!!」


「うぁあああああああああああああああああああああああああああああああぁああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

女は叫ぶ。


「なぜ、何ゆえに、どういう理由で、あなたは、貴方(きほう)は、汝は、そちらは、自分は、我らのそんざいを知らないのですかぁああああああああああああああ?????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????」

シスターの女は血の涙を流しながら、口からはよだれとともに泡を吹き出し、頭を抱え、体は痙攣する。そして、


「我らは。しんーーーせーーーーーなる、てんのーーーーーーーー、福音でっっっ、ございます。」


シスターの女は奇妙な喋り方で自己紹介をしていった。とてもじゃないが正気の沙汰じゃない。天の福音というのはどういう組織なのだろうか?


「聞いたことねぇ名前だな。新興宗教か?」


シスターの眉が少し歪む。だが、すぐ元通りの笑顔に戻って、話を続けた。


「我々は新しく生まれた勢力ですが、神をしんぼうする気持ちはどの組織にも負けません。

そして我らが教祖はもはや神にも匹敵する神聖な存在なのです。」

シスターは絶叫し続けて声が枯れてハスキーだったが、清らかな声でそう語った。





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