第六話 反撃


「現在ソウルアブソープは戦闘中です。」


「それでいい。彼には能力を蓄えさせればいい。気長に待とうじゃないか?」


「分かりました。総裁。それで現在覚醒させたヒュドラの方は?」


「それにかんしてはどちらでもよい。好きにさせなさい。ただ、【伝説の獣】(レジェンドビースト)が彼をえらんだのは興味深い。しかし、統帥は自身のアップグレードと完全なる支配を目指しておられる。そのためには、アンチルーラーの特性は研究しつくしたほうがいいだろう。ただ現在進行系で進んでいる彼の復讐の物語は我々の段階で完結させねばなるまい。」


「統帥ではなく総裁の段階ということですか。」


「その通りだ。引き続き監視を続けてくれ。」


「了解。」



「お前は何回人の人生を奪ってきた?

何度その人の周りを悲しませてきた?

なんでお前のようなやつに俺の大切なものをうばわれなくちゃいけなかったんだ。

何とか言ってみろよ!!」


「いちいちうるせぇんだよボンクラ。お前だけ賢しら(さかしら)に不幸を見せびらかしてんじゃねぇぞ。お前らは大人しく、家に引きこもってビクビク震えてりゃぁいいんだ。」


「するとソウルアブソープの手から巨大な氷柱が姿を表す。」


「ほら!ほら!!」


蛇龍ヒュドラの首に氷柱が刺さり一匹が呻き声をあげる。そしてさらにもう一本別の首に刺さった。


さらにアブソープは巨大な熱風の塊を作り出す。


「とっとといきなクズ虫!!!」


辺りに強力な衝撃波が飛ぶ。俺も剣士も吹き飛ばされた。


「何勝手にぶっ倒れてんだクズ虫?

お前に今倒れられたらつまらないんだっつーの。」

その瞬間目の前にアブソープがいた。そして渾身の一発を喰らう。壁に打ち付けられ、血が流れる。


「おっせーな!反応が。さっきまでの威勢はどうした??ボンクラ!!」

(くっそ。瞬間移動で龍が反応できない。)

「終わりだな。クソ虫,」

そうして手を伸ばしてきた。

(触れられたらヤバい。)そうして身をよじるが体が言うことを聴かない。


するとそこへ

「隆慈!大丈夫か?」


向こうの方から二人組がやってくる。


「くっそ。外野か?」


(助かった。)


「チッ。消えろぉおおおおお。」

衝撃波がアブソープの手から放たれる。

「よせぇええええ!!」

(また俺はたいせつなものを失うのか。ここまで来て。)




すると同時に

衝撃波が黒い波動に打ち消された。

「何だ?今のは?」

「隆慈は?」

(今俺の手から何か出た?黒かったな。、、、。)


「チッ。ボンクラの分際で!」


アブソープの手から徐々に風の流れが生まれ、渦を巻いていく。そして少しずつ今度は波動がマンション一つ飲み込もうかというほどの竜巻となって現れた。


「くっそオオオ」


何がなんだかわかんないが黒い波動を出すしかない。今度は俺の手から吹き出すように黒い風が現れる。いや、黒紫といったところだろうか。その風が巨大な一閃となって竜巻に突き刺さる。

バランスを崩した竜巻は雲散霧消し、代わりにその勢いが分散し、車や道路標識をなぎ倒し、吹き飛ばしていった。

そして警察の車のサイレンの音が鳴り響く。


「また厄介なのが来やがる。」


アブソープが苦虫を潰したような顔をした。


「この勝負はお預けだな。

あばよボンクラ。

そういって、アブソープは消えた。」


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