第4話 井戸端会議

年が明け、近所の喫茶店の店主にご挨拶がてら朝のモーニングへ。


小さな喫茶店でモーニングをする為に何人かのお客さんが座っていた。


そのうちの一組である。ご年配の女性4人組が井戸端会議の真っ最中。


作者であるユリナは、そのご年配達の隣の席に座る。左右席は空いていたが、何処へ座るも彼女達の隣になるわけだ。


俺はユリナの内側にいる為、ユリナからの不穏な予感を感じとる。


マスターに新年のご挨拶後、注文し、静かに待っているも、隣からの会話が聞こえてくるわけだ。


勿論、俺にも。。。


段々とユリナの不穏な予感は的中なのか、(嫌だな・・・)と言うものが伝わる。


何が嫌なのか。

直にわかる。それは、会話の内容でもなければ、綺麗な装いでもなく、ましてや話し声等でもない。


彼女達から漂う空気、気とも言うものだった。


その漂う空気は負に偏るものだ。

では、何故に負に偏りがあるのか。

それは、彼女達の会話形式にあったからだ。


会話は、話し手と聞き手があり、双方が役を入れ代わりながら、キャッチボールするものだ。


演説や、教師が教壇に立つのとは違う。


もう、お解りだろう。

彼女達の会話形式は、まさに1人演説のようであったからだ。


聞こえる声は同じ声ばかり。

4人居るのに、ほとんどが、1人の声だ。あとは、相づちや、ちょっと別の人からの声が聞こえるくらい。


話し手は、聞いてくれる人が3人いるわけだから、気持ち良さがある。つまり、気分よく話している。


しかし、聞き手はどうだろうか。

話す内容によっては、あまりいい気はしないのかもしれない。

例えば、自慢話や、愚痴などだ。

ご年配になれば、自ずと孫の話。

仕事の話。

この仕事の話は、

「この歳になっても雇われ、時間給はこんなにも貰える。」

と言うわけだ。


そう言った話を彼女達からは、1人が話し、後の3人が聞く。


こんな会話形式、どこにでもあるだろう。


だが、ユリナは、彼女達の序列が伝わるのか、話し手が1番のボスとも言うような中心的リーダー。後は皆気を遣いながら聞いているような感じだったからだ。


当然、気を遣い聞き手役をしていれば、ストレスとなり、疲れるわけだ。


俺は、こんな場面でさえ思う。

少しの気遣い、おもいやりがあれば、みんなが楽しく会話し、その場が和み、調和がとれて、

最後良い状態で彼女達は喫茶店を後にできるだろう。


些細な、思いやり。


普段からの姿が彼女達から垣間見える気がした。。。




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