第18話 中尾巻き限定な



あれから数日後、俺たちは森の中を歩いていた。

目的地は敵ゴブ達のねぐらだ。寝床にしている丸岩はある程度近づけば見えてくるから結構わかりやすい。


今日までに様々な獲物を狩った。本当はタイタニアカオスデミアースドラゴンデスワームとかいう名前糞長ミミズを狩りたかったのだが、あれを狩る前にいろんな獲物が出てきてそちらを狩ってしまうためにいまだに狩れていない。


雑魚は無視すればいいともいえるが、それ以上に毛皮が欲しかったというのもある。


念願のポンチョスタイルの毛皮服が出来上がったのだ。作るのに何回か失敗したが、最終的には「まぁ合格点を与えてもいいんじゃないという不合格な品」で満足することにした。


正直どうあがいても細かく縫うことはできないから、ここいらで限界だろう。

俺の股間が不意の拍子にさらされることはもうない。そんな時代は終わったのだ。


ちなみにいまだにスースーはする。ちょっと慣れてきてもいる。


加えて配下ゴブ達の服も作った。優しさというよりは、正直こうでもしないと敵と味方の区別がつきにくいというのがある。俺は顔の区別つかないからな。


そのうち、俺の配下専用アクセでも作るか。現代っぽく。

みんな買ってねと動画の最後で販促しよう。そして収益上げて大儲けしよう。


まじめな話、マフラーとかにするかな。手軽に作れて楽に見分けやすそう。つけ方は正面でねじる中尾巻き限定な。いや余計見分けづらいか。


ある程度獲物を狩ると同時に、レベルが上がって全員進化した。配下ゴブリンたちはゴブリンウォーリアになった。これは全体の能力がまんべんなくが微増らしい。また微増だよ。まぁゴブリンだしな。


ただ体が明らかにでかくなっていて俺よりもでかい。今思えばあのチーフゴブリンの周りにもこんなのいた気がする。


正直体が大きくなったことによって反逆されないか不安だった。パワーイズパワーの世界だしな。

というか、実際されそうだった。また舐めた態度をとるようになったのだ。そして再び全員ぼこした。


これ多分進化のたびにボコらんとあかんな。下克上上等の世界は、常に下克上される世界なんだよな、面倒くさい。かわいげなんてもうない。


で、俺はゴブリンメイジになった。進化先は他にも候補はあったがこれにした。

他の進化先は、配下と同じゴブリンウォーリア。近接が強くなるゴブリンマーシャルアーティスト。罠に補正がかかるゴブリントラッパー。あとゴブリンメイドなんてあった。


何だよゴブリンメイドって。服作ってたからか? ゴブリンにメイドの需要あるのかね。

ゴブリンがおいしくなーれって言ってハートマーク作ったら殴り殺す自信あるぞ。それにおいしくなるのは自身の経験値だろ。多分。


で、俺が進化したゴブリンメイジは《魔法の素養》スキルが覚えやすくなり、魔素量が他と比べて増えるというものだ。


《魔法の素養》はすでに覚えているからいらないけれど、魔素量が増えるのはいい。スキル形成で魔素量に不安があったからな。


そもそも近接能力は《頑強》スキルがあるからしばらくはいらない。

ひょっとしたら他のゴブリンの進化先の基礎能力がメイジ系統の基礎能力×《頑強》スキルを上回る可能性はあるから、その点は注意したい。


とはいえ、メイジ系統になって魔素量が増えてもまだスキルの開発はまだしてないんだよな。2,3くらいは開発できそうだが、現状だと何が必要かはわからない。


ちなみにやはり火魔法の開発は火の生成が厳しく、ギリいけるかなというくらいだったのでやめておいた。

生成系はまだまだ難しそうだな。


このままだと《鋭利》がスキルレベル上げることで再び魔素がかつかつになりそうだ。


探知系か遠距離系かは考えているんだが。もしくは回復か。

今は最大魔素量を減らしてスキル使用回数を減らしたくないから、次の敵ゴブリンの集落を奪ったら何か考えよう。


お、そろそろ見えてきたな。

あの特徴的な丸岩が視界に入ってきた。


「今度は正面からいくぞ」

「ゲキャゲキャ!」


配下ゴブリンも気合の入ったような声上げてる。

さぁ、とるぞ。ここからゴブリンキングのための配下を増やしていくのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る