第13話 チートが呪いに
「なんでこんな早いん?」
いや早いののはいいよ。けど2か月が一瞬で短くなるとなんか不安になるやん。
「《次元魔法の素養》の干渉を確認。また、《頑強》スキルとの相乗効果により魔法素養スキル全般に対してスキル習得速度の上昇が予測されます」
なるほどね。一応チートとしての役割を果たしていたわけか。そしてここでも《頑強》さん最強や。
ん? めまいが…。
体から一時的に体力が抜けるような感覚がする。脳がぼーっとする。ゴブリンたちが一時的に見えなくなる。
ぐ…。 やばい…。意識が…。
だが途切れるかどうかといったところで持ち直した。あぶねぇ。何だったんだ。スキル獲得が何らかの原因なんだろうが…。
「警告します」
え? 怖い。 何?
「スキル習得速度急上昇によるスキルの連続習得および上昇は、一時的に魔素が急減し活動に影響を及ぼす可能性が高いです」
「えーと?」
「スキル獲得及び上昇は基本的に状態安定時に行われますが、スキル経験値の大量獲得に伴う連続獲得及び上昇により、スキル形成による魔素消費量が想定よりも上昇し、一時的に懈怠感や活動停止になる可能性があります。」
「つまり、疲れたり眠りが深くなったりする?」
さっきみたいな感じか。
「急に眠る可能性、および死亡の可能性もあります。」
死亡とか怖い言葉が出てきたんだけど。
「スキル習得や上昇を大量に行うとやばいってことか。」
「はい。ゴブリンは最大魔素量が少ないため、一層危険です」
まじかぁ。 習得速度上昇が諸刃の剣となるとは…。
チートが呪いになったのか?
まぁけど獲得のほうは大丈夫そうだが、問題は上昇だ。
これ使用中に上昇とかしないよな?
「スキル経験値って、スキル使用でも獲得しちゃう?」
「はい」
使用中に上昇しそうだ。
「スキル上昇を抑えることはできないの?」
「スキルは一度経験値を取得すれば基本獲得、上昇するように設計されています。」
「不可能ってことか」
いやけど、これってゴブリンが持ってる魔素量が少ないから問題なんだよな。
魔素に余裕があれば大して問題にはならないはず。
「じゃあ魔素量を増やすには?」
「魔素は食事、および休息により回復します。魔素量の最大値は個体の成長、レベル上昇、進化により上昇します。」
「結局狩りってことね…」
どうするか。レベルアップするにはスキルが必要だが、スキルを十全に使うにはレベルアップが必要なんだ。
ふーむ。
「そういえば、ゴブリンキングの進化は聞いたけど、他の進化はできるのか?」
現在レベル6だけれど、6だとさすがに無理なんかな?
「レベル5からゴブリンソルジャーが可能です」
「ソルジャー…。なんか弱そう」
「ゴブリンの全体の能力が微増します。また、指揮されている場合に能力微増です」
「下っ端職やん」
しかしレベル5か。ならばこいつらも行けるのか?
「こいつらも進化できるのか?」
「すでにゴブリンソルジャーです」
「え、大した変化見られないけど?」
変化してる? 何か…? 何かしゅっとしている?
正直、もともとゴブリンの顔そんな見てないからわからんかも…。
あーけど。なんか背は俺よりでかいかも。
「はい。下位職は大きな変化は見られません」
そうなのね。
「進化を行いますか?」
「うむ」
しないよりかはしたほうがいいだろう。というか選択性なのな。あいつらどうやって進化したんだろう。
「う…」
体の奥にたまっていた何かが全身に駆け巡るのを感じる。熱い。
視点がわずかに高くなる。体全身がわずかに大きくなっていった。
いったん体が冷めたと持ったら
「進化を行いますか?」
あれ、さっき言ったよな。
「ああ」
再び体が熱くなっていった。
魔素量を探ると器が2倍くらい大きくなるのを感じた。まぁもともと小さいから微妙なんだが。
しばらくすると収まった。
「ふぅ…」
視界が若干広いな。これが進化か。意外とあっさりしてるのな。
「ゴブリンリーダーに進化しました」
ソルジャーどこ行った。
「お?」
「ゴブリン族の配下を持つゴブリンソルジャー以上である場合、ゴブリンリーダーに進化することが可能です」
「ほう。2回連続で進化したってことか。」
「はい。ゴブリンリーダーは自身の全体の能力が微増。魔素量さらに微増。そして配下がリーダーの若干の能力分上昇します。」
「まじか。配下全体が上昇するのはいいな。」
あれ、それってわずかとはいえ頑強スキルも受け継ぐってこと? 結構なチートでは?
ま、強い分にはいいな。
「そういや、あいつらはどうやって進化したの?」
「知性が一定以下の場合は進化が自動で行われます」
「なるほど」
なんにせよ。最大魔素量が増えたのはいい。しばらくは気にしなくてよさそうだ。
とりあえず、飯食って魔素量を回復させてから新しいスキルを作ろう。考えているスキルはあるんだよな。
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