第12話 よくあるスキルと魔法の話



「ふむ。魔素励起って何?」


「魔素励起とは、魔素を励起させて様々な現象を引き起こさせることです」


「うん。よくわからん」


詳しく聞くと、世界や生物の体には魔素というよくわからないがファンタジー定番の物質があり、これを使用することで様々な現象を引き起こさせるらしい。


そして、その現象を引き起こす行為を何度もすることで、その行為を最適化したスキルに変換するらしい。


まぁ、魔法もスキルのうちというわけだ。


魔素励起によって引き起こされる現象、魔法には4種類ある。現象拡張、現象消失、現象生成、現象変化だ。


そしてこれらの魔法を精錬させ、効率的にしたものに魔素をパックにしたのがスキルというわけだ。それらのスキルの効率や強化度合いで、スキルレベルが決まる。


基本的に、多くのスキルでは現象拡張が行われる。切るという現象を拡張させてさらに切れやすくさせたり、切れる範囲を大きくしたりするのはよくあるスキルだそうだ。


逆に現象生成や変化はあまり使われない。何もないところに何かを生成したり、例えば鉄を砂に変えるなどの変化は非常に多くの魔素を使い、そしてそれに見合った効果は得られにくい。


何もないところに火を生み出すよりは、あらかじめ用意したランプなどの火を大きくするほうが楽というわけだ。



で、このスキルを作るためにも用いられる魔素を使用する方法が意識的に行う方法と、無意識で行う方法がある。


そのうち意識的に行う方法が基本魔法、並びに中級上級と続く魔法にあたる。自身が持つ魔素を意識的に動かして現象を引き起こすことによってスキルにするというものだ。中級、上級では使える魔素量や現象量に違いがある。


中にはスキルにできないものもあるが魔法の便利なところがスキルでは出せないニッチな動きもできるというとこだ。


一方で無意識で行う方法は、本人が何回もスキルの動きを行うことでスキルを発生できる。これは意識的と同じだが、こちらは魔素が体に過剰に充填されている状態でないとスキルが発生しない。スキル発生の時期が限定されているのだ。


種族によっては本当に一時期しか生まれえないとされている。


また、魔法行使やそれらによるスキル開発を行うことはデメリットがあり、魔素というのはそれ自体が相手のスキルに対する防御力になる。この防御力が弱くなっていくのだ。


自身の魔素と相手の魔素は対立しあう関係にある。ただ、魔素の方向性を持っている魔法やスキル、つまりは攻撃側の方が一般的には強くなる。


魔法行使のために魔素を意識的に動かすと、魔素はいつでも動けるようにと中央に固まるようになり、防御力が低くなるのだ。


まぁ、簡単に言えば、魔術師タイプは体がスキルに対して弱体化し、一方で器用になり、脳筋タイプは体が強くなってスキルはそんなにないみたいな感じだ。


そしてそれに加えて種族特性がある。種族特性は先ほどのグリフォンの《飛翔》やダンガールスモールボアの《突進》のように、その種族が何代も重ねて持っていたスキルだ。


これらのスキルは、獲得しやすくなっていく。逆に言うと獲得しないと弱くなっていくものもある。

ちなみにゴブリンの種族特性は、《繁殖》《飢餓耐性》《毒耐性》《狂乱Ⅰ》だそうだ。


まぁ、お察しの種族特性だ。


「で、これらの種族特性は魔素が充填されていないと獲得、強化できない。だが、魔法行使によるスキル獲得を行うと魔素が少なくなって獲得しにくくなり、種族特性が弱くなっていくと」


「はい」


「魔法行使も一長一短だな。まぁ、俺はゴブリンの種族特性はいらんし、頑強スキルもあるから魔法使ってスキル磨いてくかな」


手っ取り早く強くなりたいしな。修行編は漫画の中だけでいい。


「《基本魔法の素養》はどうやって身に着けるの?」


「最も安全で身近な方法は瞑想によって魔素を感じ取ることです。」


「おーけー。よくある奴な」


俺は瞑想をして魔素を感じ取ることから始めた。


「平均習得時間は2か月となっています。一時的に飢餓状態に陥ることで時間を短縮できます」


「え? そんなに」


その時、胸の内に何かを感じることができた。


「《基本魔法の素養》を習得しました」


「え? 早くね?」


2か月とは?

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