Story’s stuff, I veil you

「じゃあ今日、三水に俺が会いに行ってくる」

 現はようやく笑うのをやめ、真剣に言った。

 いや、俺もついてくよ。もしかしたら見えるかもしれないし。

「分かった」

 今度は現がインターフォンを押す。俺と違って手は震えていなかった。

 何せ侵入するわけじゃないしな。

 ドアが開き、中から眼鏡をかけた優男が出てきた。

「何?サインなら断るよ、少年たち」

現と俺は少し驚いた顔をする。

「“たち”ってことは、こいつが見えているのか?」現が俺を指さした。

 画家はそんな怪談みたいなと苦笑したが、すぐに何かに気づいた素振りを見せた。

「君たち、もしかして現象の被害者?」そうだが。

「そうか。僕はこれからもうすぐ出かけなきゃならないし、ここで話そう。君たち、もう菟木にはあった?」ああ

「じゃあ彼女には注意しろ。彼女、なぜ自分は耐性があるかみたいなこと聞かれた時、自分の知り合いが、とか言ってなかった?」

 ああ、言ってたな。

「でも、耐性があるのは親友だけ。親友の事を知り合いと呼ぶ人は少ないだろ?せめて友達とか。」確かに。

「でもなんでそこまで分かるんだ?」

「僕の時もそうだったからさ」

 三水は腕時計を見やり、まずいと呟いた。

「あと、僕から忠告できるのはこれだけだ。」

三水は何かを紙に書いて渡した。

『ちかひひつひちかちつやふはつたしひ』

「何これ?」

「匿ってあげたいけど、これから海外に出張する予定があって」

 本当に忙しそうだったので、お暇する事にした。


「玲、あの暗号どう思う?」

俺に頼らないでほしい。

「いや、玲が作る機械無駄に完成度高いからさ」

無駄ではないけどな?

 2人はいつもの丁字路で別れた。


 そう言えば5日後の殺される予定日の集合場所を伝え忘れてた。“宍向トンネル集合で”と打ったところで、あることに気がついた。

 急いでメモ用紙に書き込む。暗号が、解けた。

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