The mist of our bonds

「で、何か収穫は?」

 枯野三水のとこに行けって言われた。

「他に」

 あと、この現象が起こるのはミミズ事件の被害者で、これに耐性があるのはその親友らしい。なんか照れ臭いな。

「ん?それっておかしくないか?」何がだよ。

「いや、だってお前殺されてないじゃん」

 ふと、あの絵の事を思い出した。

 もしかしたら、これから被害者になるやつも含まれるのかもしれない。

 俺は現にあの絵のコピーを見せた。

「これ、俺たちに似てないか?」

そうなんだ。

「てことは、殺害予告か?」かもな。

 そうだ、絵が発表されてから誰かが殺されるまでどれくらいの間が空いてる?

「すまん、今スマホ持ってない」俺もだ。

 辺りは段々と夕焼けに焼かれてきており、信号機の青が妙に目立っていた。

「じゃ、またな」ああ。

 2人は、また丁字路で別れた。


 はたと、妙な事を思いついた。それも、現と別れた後、寄ったコンビニで偶然パーティグッズが売っていたからなのだが。

 俺はその一つを取り、やはり申し訳ないのでお金を置いていった。


 夏ゼミは昨日で終わり、今日は出校日ではない。

 しかし、こんな状況なので今日も現と会う約束だ。早速、遠くに現の姿が見えた。手を振り、現に走り寄る。「やぁ」やぁ。

 そして、俺は昨日買った玩具を見せびらかした。

「お前、それ」いや、玩具だ。

「びっくりした。でもなんでそんな物持ってんだよ」

 いやぁ、いい事を思いつきましてね。これをここら辺に置いておくと。

 俺は自分の下におもちゃ銃を置いた。

 これが、錘を入れてあるので暗くなると本物の銃に見える訳ですね。

「なるほど、誰かを引っ掛けようってか?」

まぁ、そんな魂胆だ。

「そんな事どうでもいいから、俺はちゃんと調べてきたんだ」

 どうでもいいとは心外だな。

「今までの被害者は、作品発表から全員60日後に殺されてる。次にお前は、例の作品の発表は?という!」例の作品の発表は?ハッ‼︎「茶番は置いといて、6月17日だ」

 それって、俺たちが襲われるのは、

「ああ。5日後の可能性が高い」

 ええ、俺今回作った自由工作結構自信あったのに。

「何作ったんだ?」

プロジェクター。

「去年と比べて結構すごくないか?なんだっけ、ほら」いじめか?「粉、なんだっけなぁ」

粉状のものを大量にかつ広域に噴射する装置な?

 俺はなるべく早口で言った。

「あぁそうだった。あの絶対役立たないやつね」

 過去のことは振り返るなよ。自分でもなんであんなん作ったんだってなってんだから。「名前が好きなんだよなぁ。大量にかつ広域にって」

 現は抱腹絶倒したとまでは行かなかったが、それに近しい笑い方をした。

 これから報復して絶倒させてやろうか?「お、上手いじゃないか」

 現はまだ顔を引き攣らせていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る