第9話 ゲーム最初の選択肢
「な、なんなんですの!? この二つの棒は!?」
マリアンヌはゲームをプレイしている最中、俺はとりあえず一緒にいながらゲームをプレイしているところを眺めていた。
とりあえず、主人公が異世界シャンドフルールに着て、ウィリアム王子が出てきた時はマリアンヌがもうそれはそれは騒いで大変だったが最初のセーブはあえてしないまま、ゲームは翌日になり、フランツ王の勧めて聖ロイヤルブルーム学園に主人公はやってきていた。
主人公のデフォルトネームはそのままで、花宮唄子を動かして話を進めているマリアンヌは時折不愉快そうにしながらもゲームを進めている。
攻略キャラ達八人と出会えて、最初の選択肢がやって来たのだ。
攻略キャラたちと会話を終えた最初の彼女に来た関門。
ブライアンからの選択肢前のセリフ、それは――――、
『気になる人がいるなら、色々教えてあげるね!』
選択肢のセリフは、上下に二つ。
上が、うん、お願い!
下が、ううん、大丈夫だよ――――だ。
まずわかるのが、この選択肢で、ブライアンの攻略ルートが開始する選択肢だ。
最初にうん、お願い! と上の選択肢を選ぶ者が多いだろう。
自分は好感度とかいちいち確認するよりやり込みたい派だったのもあり最初に下の選択肢を選んで、流れるまま気が付けばブライアンが俺の最初の一人目の攻略キャラである。
ブライアンにとって下の選択肢は、彼の攻略ルートに迎える最初の第一歩だ。
「こ、これはどっちを選べばいいのです!?」
「ああ、それは――――」
俺は慌てて口を片手で覆う。
ちょっと待て、ネタバレは禁止だと言われたんだった。
「どっちの選択肢を選んだら、その子喜びそうだと思う?」
「……これは、上、ですわ」
「どうして?」
「どうして、って……王子とのルートを開拓するためにも、彼女から好感度? という物を教えてもらった方がありがたい気がします」
「それは俺が好感度の説明をしたからそう思うだけじゃない?」
「……っ、だったらどうしろと!?」
「女神様からは君にゲームのことは話すなって言われてるから必要以上なことは言えないけど、君が後悔しない選択肢を選んでいけばいいんじゃないかな」
「わ、わかっています! 余計な茶々を挟まれても、私の決意は変わりませんわ!」
ぽち、っとマリアンヌはマルボタンを押した。
ブライアンは笑顔でこう答えた。
『うん、もし気になる子がいたら教えてねー! 会いに来てくれたらいつでも教えるからさ』
「……ブライアン、いい子じゃありませんの、ま、まあ? ワタクシの美貌ほどではないですが、中々悪くないとは思います」
何、対抗してるんだ? と突っ込んだらまた不機嫌になりそうなので突っ込まない。しかし、マリアンヌにはっきり口を大にして言いたい。
――――だが、男だ。
男なのだと、言ってやりたくてたまらない。
女の子の声っぽくも聞こえなくないけど、気づこうと思えば実はわかるタイプの男性声優なんだよ。気づいてくれと叫びたかったが、必死に心の中で堪える。
だってそれも女神様にとってはネタバレになるだろうから……ごめん、マリアンヌ。俺と同じ絶望を、君は味わってくれ。
マリアンヌに心の中で謝りつつ、俺と同じ絶望を味わった時の表情がどんな顔が期待しながらベットの上から腰を上げる。
「じゃあお風呂の準備してくるから、待ってて」
「え? ええ……お風呂?」
マリアンヌはお風呂というワードを聞き逃さなかった。
「うん、一人では入れる?」
「……浴槽の準備は?」
「もうしてある、君やり方知らないんでしょ? お嬢様だもん」
「……わかっているじゃありませんの、ミチタカ」
「とりあえず、いつまでもその格好じゃいられないでしょ?」
「それもそうですわね……ええ、少し熱中してて汗もかいてきましたし」
マリアンヌはコントローラーを片手に持って胸元をぎゅっと右手で掴む。
……休憩の時に着替えさせる方が、彼女に対してな紳士の対応だったという後悔の棘が胸にちくりと刺さる。
彼女がさっきまでの怒っている反応から、しおらしい態度に戸惑っているだけだ。
とにかく彼女のためにも、お風呂を沸かしておかなくては。
「じゃ、着替え用意するから君はここで待っててね」
「わかりましたわ、ちゃんとやってくださらないと許しませんから!」
「もちろん、公爵令嬢様に冷たい水の風呂には入らせないよ」
道隆は扉を開けて、一回のリビングへと足を進めた。
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