第7話 可愛がられた女

天真爛漫、太陽のように明るく愛らしい笑顔、少女の頃の前世の私は大層可愛がられた。


特に男達に可愛がられた。


袖を火で焦がす様はとても愛らしかった。


鼻先をつんと突くと明るく楽しそうに笑う。


とても素直で邪気のない子だったが、歳頃になって大人の男に女を教えられた。


女を教えた男、それが現世の今の彼。


最初は父親代わりに私を子供として大層可愛がっていただけだった。


ニコニコとキスを交わす仲だった。

彼以外の男達や父も小さい私を可愛がってキスをする。


あまりに可愛い小さい私にキスをしていると男達は罪悪感を持ちながらも変な気を起こしてしまうほどだった。


小さい子供相手、さすがにキスだけに留めたものの、男達にやましい気持ちが全くなかったとは言えないだろう。




前世の妹は勉強が出来て真面目で父や男達に可愛がられる長女の私が大嫌いで気が強かった。


前世の弟に私の腕の裏をつねらせるのが好きだった。


前世の父とキスを交わす私を見て、妹もキスを父に強請った。


妹にはキスしてほしくなかった。


嫌がらせをする妹から庇ってほしかった。


しかし妹の嫌がらせを父は知らなかったし、父にとっては2人とも可愛い娘でしかないことを幼心にわかっている私は嫌がらせされていることを父に言えなかった。


大好きな父に甘えられなくて悲しい時は街のはずれの樵のお兄さんのとこへ遊びに出掛けた。


うさぎの耳を模した手作りのカチューシャを頭に付けて、小窓から中を覗く。


私を見つけると静かな樵のお兄さんも笑顔がほころんでしまう。


樵のお兄さんはもちろん何も性的なことはしなかった。


ただ小さく愛らしい私がかわいかっただけで私も樵のお兄さんが優しくて大好きだった。


私はいつも邪気がない。


樵のお兄さんが大好きだったし、現世の彼のおじさんが大好きだったし、父のことも大好きだっただけ。




前世の私は歳頃になった頃、樵のお兄さんの仲間である男の子と付き合いだした。


初めての恋人だった。


街は狭いので、みんなほぼ顔見知りで前世の妹も彼とは仲良くしていた。


私と付き合いだして、当然妹は面白くなかった。


弟と画策して初めての恋人をあの手この手で私から奪った。


私は憔悴した。


泣きながら現世の彼であるおじさんに悩みを打ち明けると慰めてくれた。


慰めてもらっている内に恋仲になった。


おじさんは少しずつ私に女を教えていった。


「大人の人はこういうこともするんだ」幼い私に徐々に無理なく教える。


掘っ立て小屋で愛し合うのが常だった。


私が絶頂に達する頃には、街に私の噂が広まり、特に女性達は私を忌み嫌った。

当然の反応かもしれない。


大人になるにつれ私の噂は噂を呼んでゆく。


妹と弟は歳を重ねるごとに陰湿さを極めていった。


そう、そして前世の私は最期には色情魔の魔女として皆の前で焼き殺されたのである。


この物語の全容をもう想像していただけるだろうか。

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