証言25 束ねられし想い、手製の永劫回帰(証言者:LUNA)
デイビー・クロケットは二つあった。
他プレイヤーたちも、核爆弾と聞いてはさすがに物怖じしたらしい。二つとも、快く譲ってもらえた。
なんか、場の空気的に
片方を当初の予定通り、クラスター型へと換装。
もう片方は普通に持っていく。
現在、アンティークデザインの二階建て遊覧バスに乗っている。
運転手は
アタシと
……こんな単語、口にすることは二度とないだろう。さすがのアタシも、そう思いたい。
ただでさえパワードスーツが無ければまともに担げない重量なのに、6発の弾を内包したクラスター弾体が乗っている。これを持って走り回るのは無謀すぎる。
だから、この遊覧バスをジャックした。
遠くで、火山を模したアトラクションを背景に、機械仕掛けの魔狼が暴れている。
オモチャが蟻を潰して回っているような、アタシたちからすれば他人事の間合いだ。
彼は一階へ駆け降りて、
狙撃システムを起動した
「核爆弾だ!」
そうのたまい、
そう言えば、大昔の映画でエイリアンだかに襲われて、しれっと「核爆弾だ!」と言ってぶっぱなしてたのがあったけど何の映画だっけ本気で思い出せない、そして今それどころじゃない。
とにもかくにも、禁断の弾頭が飛翔した。
そして。
蒼白い閃光。遥か遠く、ここまで届くほどの熱波と衝撃刃。剥ぎ取られる聴覚。
これが、核爆発……。
フェンリルの装甲があちこち剥がれ、変形。
怯んだ。
怯んだ、だけだった。
奴は、核の飛んで来たこちらを睨み付ける。
しかし、駆動系か電気系統がやられたのか、足取りがいくらかおぼつかない。
やはり、一発程度では沈まなかったのは残念だけど、充分な隙はできた。
アタシは
全身に熱いものが駆け巡り、パワードスーツがどんどん軽く感じてきた。
何でもできる。そんな気もしてきた。
実際、アタシの筋力は飛躍的に増強された。
バスの屋根に跳び乗ると、そこへ備え付けておいた、クラスター・核爆弾を外して構える。
傍らに、
彼を観測手として、アタシは今、滅びの担い手となる。
水平射撃ではアタシ達が自滅するだけで、肝心のフェンリルを仕留められないかもしれない。
すっかり軽くなったそれに角度をつけ、曲射砲のように撃つのだ。
聞け、アタシをこの世に生み出し、また、死なせ損ねた傲慢なる“神”よ!
其は新たなる絶滅イベントの担い手にして、新たなる秩序を作り出す者!
かの魔狼を贄として、
ーー“私”は何処へ行くのか。何処へ行きたいのか。
ーー導きは何処にある?
ーーわからないまま、私は星を指す。
ぶっぱなした。
ひゅるるるる~と、打ち上げ花火みたいな緊張感の無い音がする。
だが、まだだ。
アタシは素早く“第二弾”を装填し、またぶっぱなした。
やった、マジでやっちゃったよ! アタシ!
6発クラスター×2で、核爆弾が
バラバラバラ~って流れ星が落ちてくる!
「いぇあ!」
見てください
マジでアポカリプス! ハルマゲドン! ラグナロク!
IMO-Xでもキメてなきゃ、やってらんないわ!
そして。
蒼。
光。
それは、アタシのこれまでの人生全てで見た光量よりも多いかもしれない。
感覚が、意識が、瞬時に消し飛んだ。
ヒャッハー! 滅亡だぁ!
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