第2話

 人間離れした美しさを持つ美丈夫ハオランがルォシーの家に住み着いてから、幾日か過ぎた。

 金持ちですと自己紹介するかのような服を着られていてはこちらも困る。

 ルォシーが知人のつてで手に入れた服を着せたものの、ハオランの持つ底知れない美しさは隠れることを知らず。仕方がないので、最初に被っていたぼろ布をまた頭から被るよう厳命した。


 嫌だと言えばいいのに、ハオランは従順だった。


 ベッドが木箱なことも嫌がらず、隙間風が吹きすさぶことにも嫌な顔をせず。ルォシーと添い寝なことも、大して反応なし。むしろ狭い木箱の上でルォシーが落ちてしまわないようルォシーの身体を抱き寄せてくるし、ルォシーが少しでも暖かく寝られるよう掛布を八割も分けてくれるほどだ。


 いったい何なのだ、あの男は。


 彼に直してもらった花籠には魔法が別にかけられているようで、花は飛ぶように売れて、更に補充する必要もなくなっていた。


 本当に、いったい何なのだ、あの男は。


 ハオランが来てから、ルォシーの懐まで温かくなる始末だ。


 どうもこの花も、そもそも魔法から生み出されたものなおかげか、飛ぶように売れたのだ。


 おかしい。

 こんなこと、おかしすぎる。


「おい、ハオラン!」


「おかえり、ルォシー」


 その日もたっぷりと金を得て帰ってくると、ハオランはベッドに座り魔法で取り出した本を読んで待っていた。その姿はあまりにも絵画のようで、ルォシーはがっくりと両膝に手をついた。

 はらり、と花籠から落ちる花は地面に着く前に消え去って、これもよく分からない。


 ガバリと顔を上げて、ルォシーは声を張り上げた。


「~~~~っ! お前なぁ! なんなんだよ、この花籠!」


「花籠? 何か不具合でもあったか?」


「不具合出まくりだ! おれが作った花は一本も売れなかったのに! お前が作った途端飛ぶように売れ始めるし、全然数減らないし! 今日だって長蛇の列ができて大変だったんだからな!」


「そうか。それはよかったな」


「よくない!」


 こちらの反応など、まったく響いていない。

 ここ数日一緒にいて分かったことだが、ハオランはこちらの言葉にあまり反応を示さない。

 一緒のベッドに寝ていても何も意に介さないし、毎日固くて小さなパンだけでも何も文句を言わない。

 彼自身も金を稼ぐと言い出したことはあったが、憲兵に見つかる可能性を考えると外に出したくはなかった。そう伝えてこうして家にいてもらっているが、それにだって文句を言わなかった。


 ハァ……と大きく溜め息をついて、ルォシーは諦めた。こちらの反論が無くなったのをいいことに、ハオランは読書に戻ってしまった。


 本を読み進める横顔が美しい。

 って、そんなことはどうでもよくて。


「なぁ、この花籠にどんな魔法をかけたんだ?」


 ハオランの横に座って、彼の目の前に籠を突き付ける。はらはらと落ちる花は、ハオランにぶつかることなく光となって消えていった。


「その花籠には、修復の魔法をかけた。おそらくそれが上手く作用して花を生み出す籠となったのだろうな」


「……そんなことできるの?」


「そうだな。物によっては、そういう副作用が出ることがある。大事にしていたもの、好意を持っているものには良い反応が出る。その逆もしかりだ」


「なるほど……?」


 魔法の勉強をしたことがないから、そのあたりはハオランの方が詳しい。

 ツイ、と指を動かして、ハオランがまた魔法を使ってきた。


「《洗って》」


「え? ぅわっ!」


 彼の指から放たれた光が、ルォシーの身体を包む。途端に、温かな湯が身体の上を滑るような感覚があり、気づけばルォシーの頭からつま先までピカピカに綺麗になっていた。


 ハオランがこの家にいるようになってから、毎日こうして魔法で洗われている。

 毛根の中まで綺麗に洗われてしまって、生まれて初めてスッキリさっぱりとした感覚を味わっていた。

 どうも、ハオランは綺麗好きではあるようだった。

 その割には、汚い服を着続けることには抵抗がないようで、本当におかしなやつだ。


 今日も今日とてピカピカにされたルォシーは、ジトっとハオランを見た。


「なぁ、ハオラン。なんで毎日毎日おれのことを洗うんだ」


「毎日仕事をして帰ってきた家主を労わるのは、当たり前だと思っている。本当なら湯に浸かってもらいたいのだが、ここには風呂場がないだろう? だから魔法で洗っている」


「労わるって……他にももっとやりようがあるだろ……」


 湯がないのに、湯にあたった感触がある。変な感触が肌を撫で、少し気持ち悪いというのに。ハオランは気にしていない。


「他……たとえば、どんなことだ?」


「え? うーん……たとえば、この家を家らしくするとか?」


 風呂場が無いと言うのなら、風呂場を作るとか。

 そう提案したところで、思い出した。

 この男は、やたらと魔法を使うのが上手い。


 ハオランの人差し指が伸びた。


「あっ! 待って、ハオラン! っ!」


 ポンッとやたら軽い音が鳴って、強い光が家を覆った。


 気づいた時には、穴が空いていた屋根や壁は綺麗に整えられ、風呂場と炊事場、ふかふかの布団が乗ったベッド、ソファとローテーブルが家の中に登場した。

 ルォシーの東屋が、突然金持ちの家に早変わりだ。


「わーっ! すげぇ! ……じゃねぇ! ハオラン、元に戻してくれ!」


「? なぜだ」


 こんな路地裏の奥の奥で、こんなしっかりした家があってはいけない。

 周囲に住む人間たちは良い人ばかりだが、それはルォシーが周囲と同じ経済状況だから優しいのであって、こんな金持ちみたいな家にされてしまったらどんな反応をされるか分かったものではない。

 誰かに見つかる前に直さないと、と慌ててハオランに縋るが、当のハオランはキョトンと小首を傾げるばかりだ。


「ともかく! 早く元に戻して!」


「……わかった」


 渋々、という風に、またハオランが人差し指を立てる。

 またポンッという軽い音と共に、家は元に戻った。

 いや、壁と屋根だけは新しいままだが。


「はー……助かった……」


「家が豪華になるのは、嫌なのか?」


「えーっと、嫌ではないけど……」


 今、自分には十分な金がある。新しい家を借りることはできないが、それでも毎日飯が食べられる程度には金があった。

 だから、木箱を増やしてベッドを大きくすることもできるし、テーブルを買ってくることだってできる。固くて小さなパンに、スープをつけることだってできる。ルォシーの求める労わりは、その程度の小さなものだった。

 ハオランは、元は金持ちだったろうから、このあたりの感覚は分からないだろう。


「嫌ではないなら、」


「違う違う違う! 嫌ではないけど、ここじゃ駄目なの!」


 また人差し指を立てようとしたハオランを慌てて止めると、彼の赤い瞳が少し解せぬ色を持った。だがここはルォシーも負けられない。


「そう、なのか?」


「そう! はぁ、まぁとりあえず、飯食べよ。腹減った」


 今日は、いつもよりは柔らかいパンと肉団子スープを買ってきた。ハオランにスープを渡してやると、赤い瞳がキラキラと輝いた。


「美味しい?」


「あぁ、美味しい」


 こうして温かい食事を摂れるようになっただけで、こんなにも胸がいっぱいになるのだ。その程度でいい。先ほど感じたふわふわのベッドに心惹かれないとは言わないが、今はこれで充分である。


 それに、今は一緒に飯を食べてくれる相手がいる。


「ルォシーも食べなさい。温まるぞ」


「うん」


 パンをスープに浸して食べると、じんわりとした温かさが身体の中を通っていくのが心地よい。鶏ガラスープの中に浮かぶ肉団子も柔らかく、生姜が効いていてとても美味しかった。


 それが、とても幸せだった。


 屋根と壁が直ったのは良いことだが。


「なぁ、ハオラン」


「なんだ?」


「どうして、憲兵に追いかけられていたんだ?」


 あの日から気になっていた疑問だ。

 パンをもそもそ食べながら問うと、ハオランは困ったようにこちらを見つめてくる。

 言いたくないのだろうな、とは察したが、気になってしまって仕方が無いのだ。


 これだけの魔力を持っているのだから、何か宮殿内で仕事をしてしたのかもしれない。宮殿には魔法が得意な人、魔法の研究をしている人しか入れないのだ。

 そんな場所にいる憲兵に追いかけられるだなんて、何をしてしまったのだろうか。


 ルォシーの問いに、ハオランは少し考えたあと、ゆっくりと首を横に振った。


「別に。大した理由ではない」


「えっ」


「いつかちゃんと話す。それまで待ってくれないか」


 そう言われてしまっては、待つしかない。ルォシーが頷くと、ハオランは微笑んで「ありがとう」と言った。


 *****


 ハオランを飼う、もとい、一緒に住み始めてから、また幾日か過ぎた。

 ルォシーには日付が分からない。

 夜になって、朝になった程度しか分からなかった。


 三回か四回ほど朝と夜が来る間に、ルォシーの家には椅子とテーブルが出来た。

 と言っても、路地に捨てられている木箱をどうにか組み合わせただけだが。

 ベッドだけはいまだ一人サイズなのがちょっと解せない。


 徐々に自宅に引きこもることに飽き始めたようで、ハオランはルォシーのいない時に外を出歩くようになっていた。ぼろ布を被っているにも関わらず、彼の美しさは隠しきれていないので、気づいたころには近所じゃちょっとした有名人になってしまっていた。


 そして、瞬く間に皆に愛される存在になっていた。

 野菜やパンを貰って帰ってくるのは日常茶飯事で、有難いことではある。


 彼は背も高く、体格も良いので、力の弱いじいさんばあさんには重宝され、子供たちもよく懐いていた。人見知りしがちなルォシーからしたら、魔法なんかよりもすごい能力だと思う。


「ルォシー、あの綺麗な男の人は誰だい?」


 路地の角に住むおばあさんに声をかけられて、ルォシーはなんと答えていいか分からず言葉を濁した。正直、どうしてこうなってしまったのか、ルォシーも分かっていなかった。

 困っていたから、家に呼んだ。それだけだ。


 結局、鎧男たちに追いかけられていた理由も分かっていない。


「あー、ちょっと訳アリで」


「そうなのかい? 本当に綺麗な人ねぇ。今度紹介してよ」


「はいはい。今度ね」


 その年でまだ色目を使うのか、だなんて失礼なことを考えてしまう。


 花を売って、目標額を軽く超えたあたりでルォシーは家路についた。今日も今日とて、以前のルォシーからは考えられないほどの金額が財布にある。


「ただいま」


「おかえり、ルォシー」


 その日も、帰宅したルォシーを迎えたハオランの手には、近所のおじさんから貰ったという汚い野菜がいくつか握られていた。洗えば食べられなくもないが、ここには炊事場がない。


「またなんかもらってきたのか」


「あぁ。魔法は多少使えると言ったら、分けてくれたんだ」


 この「多少は使える」という言葉の、なんと便利なことか。

 きっと近所のおじさんも、ルォシー程度の魔法だと思っているに違いない。


「《調理して》」


 ふざけた呪文をハオランが唱えると、野菜が宙に浮いて光に包まれる。

 その光を頼りに花籠を片付けていると、ポンッと聞き慣れた軽い音が鳴って、その野菜だけで作ったとは思えない料理たちがテーブルの上に広がっていた。これももう、慣れたものだ。スープに、焼いた肉、ツヤツヤに炊かれた米。料理の名前がピンとこないのだが、どれもこれも美味しそうだ。


 良い匂いが家中に漂う。


 ルォシーの腹の虫が鳴いた。


「すぐに食べよう、ルォシー」


「……おう」


 なんだか恥ずかしい。

 頬が熱くなったのは料理の湯気のせいにして、席に着く。


「いただきます」


「……い、いただきます」


 こうして、食事の席の礼儀をさりげなくやられると、ルォシーも倣うしかない。手を合わせて、箸を片手で握るように持つ。それに気づいたハオランが、そっとルォシーの横に座って手を取った。


「ルォシー。箸は握って持つものではない」


「またか……」


「覚えておいて損はない。手を貸して」


 こういうことに関しては、ハオランは頑固だった。ルォシーの手を取って、優しく正しい握り方を教えてくれる。

 人差し指はここ、中指はここ、親指は、動かし方は……魔法で作った料理はその間冷めることもなく、ハオランによる教示を受けたあとも熱々なままだ。


 プルプル箸と指が震えるが、ハオランは絶対に握り箸はさせてくれない。どうにかスープの中の野菜を取って、口に運ぶまでも時間がかかる。

 本当にこんなことが役に立つのだろうか、とハオランを見る。が、ハオランはニコニコと微笑みながらこちらを見つめてきていて、嫌だと言える雰囲気ではなかった。


「上手だ、ルォシー」


「……そりゃどうも。ってか、ハオランも食べろよ。おればっかり食べてる」


 この野菜たちはハオランが貰ってきたものだ。それだと言うのに、ハオランは料理に口をほとんどつけていない。それだと言うのに、ハオランはジッとルォシーが食べる姿を見つめるばかりだった。

 普段も、一口二口食べて終わってしまう。ルォシーが腹いっぱいと言うまで料理を魔法で出してくるくせに、本人はほとんど食べない。これでよく身体がもつものだと思ってしまう。


「私はいい。気にしないでくれ」


「でも」


「ルォシーが腹いっぱいになってくれる方が嬉しい」


 恥ずかしい言葉も吐きつつ、ハオランは微笑む。


 いったい、なんなのだ、この男は。


 ハオランにとって、ルォシーはいったいなんなのだ。


 もしかしたら、ハオランにはルォシーのような人間を愛玩する趣味があるのかもしれない。これは、彼に食べられてしまうのも時間の問題かもしれない。背筋に嫌な汗が垂れた。


「な、なぁ、ハオラン」


「なんだ?」


「ハオランは、おれのこと何だと思ってるんだ?」


 つい、聞いてしまった。

 やってしまったと後悔の念が押し寄せてくるが、出してしまった言葉はもう戻せない。

 バクバクと心臓が跳ねてしまって、うるさい。


 ハオランは、そんなルォシーに気づくことなく、考えるように顎に指を当てた。


「ふむ。まず、ルォシーは私の恩人だ」


「……」


「こんな素性も知れない私を家に呼んでくれた。これは私が悪いのだが、何も言わない私に深く追求もせず、何か魔法で作るよう要求もしない。私にとって、このような歓待を受けたのは初めてだ」


「そう、なのか?」


 たしかにハオランは魔法が得意で、魔法が苦手な人間からしたら確かに何もかもを叶えてくれないかと思ってしまうだろう。ルォシーだって、あのふかふかのベッドに憧れがないわけじゃない。

 ただ、どうしてもルォシーは甘えることができなかった。気恥ずかしいし、そうやって甘えて生きることに抵抗感があった。それがどうもハオランには好ましく見えたようで、結果オーライだろうか。


「なにより、ルォシーのそばにいると心が安らぐんだ」


「……へ?」


「ルォシーは、私の魔術の根源に近いのかもしれない」


「根源?」


 聞き馴染みのない単語に、思わずおうむ返ししてしまう。それよりも考えることがあったものの、ある意味現実逃避とも呼べた。


「魔法の元、魔術には魔力を吸収するための源がある。源泉とも呼ぶ」


「はぁ」


 それがいったい何なのだろう。

 食事を続けるよう促されたので、肉の横にあったニンジンを口にどうにか放り込みながら話の続きを聞いた。


「その源泉は人によって違うのだが……私の源泉は暖かな春の花畑だ。ルォシーのそばにいると、その源泉に近い想いが胸に広がる」


「な、なるほど?」


 よく分からない。


 ともかく、自分がその「暖かな春の花畑」に例えられたことだけはなんとか理解して、その例えに思わず嫌そうな顔をしてしまった。

 こんな見てくれの人間が、春はともかく花畑に例えられる意味が分からない。


 茶碗の米を摘まんで、プルプル震えながら口に入れた。


「おれが、花畑?」


「そうだ」


 こちらの気持ちなど気にせず、ハオランはしっかりと頷いた。

 まっすぐで素直な男だ、とは思っていたが、ここまで真剣な顔で言われてしまっては「そっか」というしかできない。


「ルォシー」


「今度はなんだよ」


 箸はちゃんと使えているだろうに、と思ってハオランを見ると、突然美しい顔がこちらに近づいてきた。


「へ……」


 ペロリ


「米粒がついていた。もう少し箸の練習をしよう」


 ハオランの舌が、ルォシーの頬を這った。

 と、いうより、頬にあった米粒を舐め取った。


 あまりのことに舐められた頬を押えてハオランを見るが、ハオランはまったく意に介していない。


「な、なにすんだよ、ハオラン!」


「ん? 何か、間違えたか?」


「間違えたもなにも!」


 普通は、たとえ米粒が頬についていても、それを舐め取ることはない。だがあまりにも普通の顔をして舐め取るものだから、反論がまったく頭に浮かばない。


「普通は、そういうことはしないんだよ!」


「そうなのか」


「そうなの!」


「なら、」


 そう言って、ハオランはルォシーの顎に手をかけてくる。


「え、な、なに」


 優しく親指で頬を撫でられ、思わず固まってしまう。

 何をされるのだろう。

 これは、反抗をしてもいいのだろうか。

 わからない。

 わからない。


 ハオランの顔が、また近づいてくる。

 赤い瞳が、ジッとこちらを見つめてくる。


「は、ハオラン……?」


「……」


 近づいてきた顔が怖くなって、目をつぶった。

 それがよくなかった。


 ふに、と柔らかな何かがルォシーの唇に触れる。


「は……」


 驚いて目を開くと、ハオランがまだこちらをジッと見つめていた。

 あまりにも近い。

 頭がパンクしそうだ。

 荒くなってしまった息がハオランに当たっているはずなのに、向こうはまったく気にしていない様子だった。


 また、ふに、と唇に何かが触れる。

 それが、ハオランの唇だと気づいて、ますます頭がパニックになった。


「ななななに、なに?!」


「え? キスをしてほしいのかと思ったのだが……」


 どこをどう聞いてそう思ったのか。


 まったく理解できない。

 それだと言うのに、ハオランはふふと笑った。


「あぁ、やはり、ルォシー……お前のそばはとても落ち着く」


 また、唇が奪われる。

 柔らかな唇に、うっかり絆されそうになったが、ルォシーは男で、ハオランも男なのだ。

 自分たちがキスをする理由がない。


「だから! やめろってば!」


「嫌だったか?」


「ちが、そうじゃなくて、えっと……!」


「なら、もう少し、頼む」


 まるで捨てられた子犬のようにそう言われてしまうと、弱かった。

 本当に、よく分からない男だ。

 気づいたら人の懐に入り込んでくる。

 少し、ハオランのことを怖いと思ってしまう。だが、ハオランを強く拒絶できない自分がいた。


 その日は、ハオランの気が済むまでキスをされ続けてしまったのだった。

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