第9章 おりぇ、ドワーフの遺跡に行っちゃたよ!
第151話 ツヴェルカーン王国再び
「リヒト様、大きな白い虎が増えていますが?」
「ああ、聖獣でシュシュと言うんだ。ハルを守護している」
「ハルくん、また聖獣ですか」
「ん、よりょしくな」
「長老とアヴィー先生の曽孫ですからね。今更驚きませんが。しかし虎ですか」
「なあに? 虎だと悪いのかしら?」
「お、やはり話せるのですね?」
「当たり前じゃない。あたしは聖獣なのよ」
「いえ、お綺麗で素晴らしい」
「あら、あなた分かってるじゃない!」
どこでもシュシュはマイペースだ。
城に着き、長老とアヴィー先生、リヒトは謁見室へ。ハル達は控えの間で待機だ。
「りゅしか、りゅしか」
「ハル、どうしました?」
「昼飯はどーしゅんら?」
「そうですね。多分、城へ滞在する事になるでしょうから、こちらで頂くのではないでしょうか?」
「しょっか」
「ハル、この城の地下に遺跡があるのですよ」
「しょうなのか。早く浄化して帰りたいじょ」
「そうですね。今回は長くなりましたからね」
「りひとの家に1回帰りゅのか?」
「まず、この国から1番近い北西にあるベースまで戻ります。そこから国に帰るのですよ」
「りりぇいしゃんのとこら」
「そうです。覚えてましたか?」
「ん、りひとの親戚」
「そうです。と、言うかベースの管理者は皆リヒト様のご親戚です」
「しょうなのか?」
「はい。皆さん皇族ですから。ハイエルフですからね」
「ほう」
思ったより早く長老達が戻って来た。
「では、長老、リヒト様。明日の朝、お迎えに上がります。宜しくお願いします」
「ああ、ロマーティ」
ロマーティとシオーレが退出して行った。
「明日の朝から遺跡調査だ」
「リヒト様、どんな感じなんスか?」
「ああ、イオス」
リヒトの説明によると……城の地下にあるドワーフ族の遺跡。そこに隠し扉が見つかった。長老の話をパーピで聞いていたロマーティが発見したんだ。
ドラゴシオンの遺跡と同じ様に、地面に細工がしてあり2人同時に目印のあるプレートに乗って扉を開ける仕組みになっていた。その扉の向こうには広間があって、奥には祭壇の様なものがありそこに魔石が設置されていた。
既に黒くなっていたので、ロマーティが浄化を試みたが力及ばずまだ黒いままだ。その魔石は直径1m程の大きさらしい。しかも黒くなっている。
そんな状態の魔石をエルフ種のロマーティ1人で浄化する事は無理だ。そこで、長老に依頼があったと言う事だ。
「じーちゃん、まらマシらな。ドラゴシオンのはでっかかった」
「ハルちゃん、そうなの?」
「ん、ばーちゃんびっくりしゅりゅじょ」
「まあ、そんなに?」
「そうなのよ! 遺跡も超大きいし、魔石も超大型なの! きっとドラゴンがそのまま入れる様になっているんだわ」
「見たかったわぁ!」
「魔物もね、出てきたのよ」
「まあ!」
アヴィー先生とシュシュは良いコンビになりつつある。
「まあまあらな」
ハルの感想だ。一行は城で食事をしている。超上から目線なハルの感想だ。
「ハル、美味しいですよ」
「りゅしか、美味いじょ。美味いけろりゅしかの飯には勝てねー」
「嬉しいですね。有難う、ハル」
「ほんちょの事ら」
「ハルちゃんはルシカ兄さんの飯が大好きやからなぁ。けど、腹が減っては戦ができぬや。沢山食べときやー」
「ん」
一行は食事を終え、其々宛がわれた部屋にいた。
ハルは長老やアヴィー先生と一緒の部屋だ。3人で川の字になってベットに入っている。
「久しぶりだなぁ、こうして3人で寝るのは」
「そうね」
「いちゅもじーちゃんとしゅしゅと一緒らから」
「そうだな、ドラゴシオンでもじーちゃんとシュシュだったな」
「ん」
「これからはいつでも3人で眠れるわ」
「そうだな」
「ありがてー事ら」
「ハル、有難いか?」
「ん、じゅっと1人らったから。夢みたいら」
「ハルちゃん……」
「ハル、夢なんかじゃねーぞ」
「じーちゃん分かってりゅ。じーちゃんとばーちゃん、じゅっと一緒ら」
「ああ、ハル。一緒だ」
「そうよ、ずっと一緒よ」
「ん……」
ハルのなんとも健気な気持ちを聞いた長老とアヴィー先生。
「寝てしもうたか……」
「ええ」
「ハルは心配しておったぞ」
「ええ、ごめんなさい。まさか来てくれると思わなかったわ」
「何を言う。行くに決まっているだろう」
「ありがとう」
「ハルの存在が……また守る者ができてアヴィーの意識も変わるだろう」
「変わらざる得ないわよ。今度こそ守らなきゃと思うわ」
「ああ、しかしハルは自分から真っ先に突っ込んでいくからなぁ。アハハハ」
「そうなの?」
「ああ、ドラゴシオンの遺跡でもな……」
ハルの話が尽きないらしい。長老はもちろん、アヴィー先生もハルが大切で可愛くて仕方がないのだ。
翌日、一行はロマーティとシオーレの案内で地下の遺跡へ向かった。遺跡へと続く扉の前に、1人のドワーフが待っていた。
「長老様、リヒト様本日は宜しく頼みます!」
「ゲレール殿、こちらこそ宜しく頼む」
「長老様、紹介してもらえますか?」
「ああ、ワシの曽孫でハルと妻のアヴィーだ。リヒトの従者のルシカに侍女のミーレ、執事見習いのイオス、猫獣人がカエデ、虎がシュシュだ。今は出てきていないがハルの亜空間に聖獣のコハルがいる」
フルメンバーの紹介だ。
「初めまして、この遺跡を調査、管理してるゲレールです。今日は見学させてもらいます。宜しく頼んます!」
ゲレールと名乗ったこの国の考古学者。ドワーフらしい体形だ。ゲレール曰く、遺跡調査も体力が資本! だそうだ。
髭はそれほど長くはないが、顎鬚も口髭もフサフサだ。栗茶の髪を後ろで一つに結んでいて栗色の瞳をしている。学者だからか、ドワーフにしては落ち着いた雰囲気だ。
「ゲレールはエルダードワーフなんだぞ」
「じーちゃん、親方と一緒?」
「そうだ、ハル。よく覚えていたな」
「らって世話んなった」
「ハルくん、親方とはヴェルカー親方の事か?」
「しょうら、知ってんのか?」
「もちろん。有名な親方だからな」
「しょっか。親方の剣はしゅげー」
「え? もしかして、その腰の剣がそうか?」
「ん、親方がちゅくってくれたんら」
「凄い! あの親方に!」
おや、そんなに珍しい事なのか?
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