第103話 ドワーフの国
「みーりぇ、りひとは?」
「ドワーフの事とかをね、ミエーク様と話しているわ。それにまたしばらくベースをミエーク様に任せなきゃいけないでしょう? そのお話みたいよ」
「しょっか」
「多分だけどね、ドワーフの2人を送って行く事になるんじゃないかしら?」
「え、しょう?」
「多分ね。私の予想よ」
「ふーん」
「ハルは嫌なの?」
「嫌とか何も分かんねー。なんも知らねーもん。みーりぇ、ドワーフの国教えて」
「ドワーフ族の王が治める国ね。『ツヴェルカーン王国』て言うの。ドワーフ族が8割だったかしら。1割位のヒューマン族の冒険者とかと、獣人族も同じ位いるわ。エルフは取引をしている人とか、国に駐在している大使役の人位しかいなかった筈よ。私も行った事がないわ」
「しょうなのか」
「だって火山地帯なのよ、国が」
「国のありゅ場所が?」
「そう。火山地帯の地形を利用しているんだったと思うわ。もう噴火する事はないらしいんだけど」
「ふーん」
「でもね、ドワーフの名匠が打った剣とかは逸品だと言うわね」
「しょっか、ドワーフらもんな」
「そう。鍛治の国よ」
「へぇ〜、おりぇまら武器持ってねーしな」
「やだ、ハル。止めて。まだちびっ子のハルが武器を持つなんてゾッとするわ」
「みーりぇ、なんれ?」
「だってなにも持っていない今でも、ハルは飛び出して行くのに」
「しょんな事しねー」
「あら、どのお口が言っているのかしら? フフフ」
「えぇ……」
「ハルはまだ小さいんだから危ない事はしなくて良いのよ」
「ん……」
翌日、長老がまたベースに転移して来た。
「じーちゃん!」
「おう! ハル、今日は起きてたか?」
「じーちゃん、おりぇ1日中寝てりゅ訳じゃねー」
「アハハハ! そうだな! ハル、ドラゴシオン王国の前にツヴェルカーン王国へ行く事になりそうだ」
「えっちょ、ドワーフの国らな?」
「そうだ。よく知ってるな」
「ん、昨日みーりぇに教えてもりゃった。2人を送って行くのか?」
「そうだな。馬や荷物も無くなっているからな。放り出す訳にはいかん」
「ん……じーちゃんドワーフの街を見りぇりゅ?」
「見られるぞ。どうした? 楽しみか?」
「おりぇ、武器持ってないじょ」
「ハル、武器が欲しいのか?」
「ん……かえれのも」
「ハル……余計に飛び出したりしないだろうな?」
「じーちゃん、おりぇはしょんな事しねー」
「アハハハ! 自分の事は分からんもんだからな」
「えぇー……」
「しかし、護身用は必要か。カエデは必要だな」
「ん」
「じゃあ、買う買わないは別として見てみるか?」
「ん、れもおりぇお金持ってねーんら」
「そりゃハルはまだちびっ子だからな。ワシが持って行くさ」
「じーちゃん、ありがちょ」
「おう。だがハル。買うとしても護身用だぞ」
「ん、分かっちゃ」
その頃、カエデが裏庭でイオスから短剣術を教わっていた。
「カエデ! 違うぞ! お前はまだ小さいんだ! 真っ向から振りかざしてもダメだ! 腕だけで振ってると、簡単に押し返されて反撃されるぞ!」
「はいッ!」
「カエデの身体能力を活かすんだよ! おら! もう1度だ! こい!」
「はいぃッ!」
カエデがイオスに向かって行く。猫獣人だからか、身体が柔軟で動きがしなやかだ。踏み出してからのスピードも早い。姿勢を低くしてイオスの下から切りつけたり、ジャンプして上から攻撃したり。だが……
「あかーん! イオス兄さん強すぎるわ! エルフって剣まで使えんの!? 弓矢だけとちゃうの!?」
「アハハハ! それはイメージだな! 弓に剣だろう、体術も出来るぞ。ミーレなんて鞭を使うぞ」
「げ!? マジ!? ミーレ姉さん、超似合うやん……女王様やん」
「奥様直伝の魔法の鞭だ」
「えぇー! もしかしてリヒト様の家族も強いん!?」
「当たり前だろ。て、言うかカエデ。大森林の最奥にある国の住民なんだぞ。強くなくてどうするよ」
「あー、そうやったわ。大森林のど真ん中やったわ。そら強いわ」
カエデ、頑張れ。まだまだハルより弱いぞ。
「体調はどうだ?」
長老がハルを抱っこしてドワーフのいる医務室に来ている。
「ありがとうございます。大分良いです。良くして頂いてありがとうございます」
やはり、ジャーノと言う少女のドワーフの方がしっかりしている。
「さて、陛下と相談したんだがな。君達の処遇と今後の採掘についてだ」
長老がベッドサイドの椅子に腰掛けハルを膝に乗せる。
ハルはキョトンとしている。
「じーちゃん、真剣な話しゅるのにおりぇもいていいのか?」
「ハル、構わんよ」
「あ、あの……お孫さんですか?」
「いや、ワシの曽孫だ」
「ひ、ひまご……」
「ああ、可愛いだろう?」
長老、この場で曽孫自慢はどうなんだろう?
「は、はい。とても可愛いです」
「そうだろう、そうだろう」
長老、ニッコニコだ。目尻が下がっている。
「アハハハ。エルフ族は小さな子供を可愛がると聞いた事がありますが、本当なんですね」
ヴォルノが横から口を挟む。
「何を言う。子供を可愛がるのは当たり前だぞ」
「おりぇ、はりゅ。おりぇも一緒にドワーフの国に行くんら。よりょしくな」
相変わらず、言う事は一丁前だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます