第3話 もしも

もしも願いが叶うなら

あと15歳、若返りたい

もう一度、新しい自分で出会う事ができたなら貴方は私を見てくれたでしょうか?


離婚話は先延ばしにされ、年が明けてから

旦那の実家で家族会議をする事になっていた


会えもしない彼にクリスマスプレゼントを用意してしまった


そんな年の暮れ、会社の最終日に突然彼から連絡が来た

今までは、メールは私からばかりで、初めて彼からのメールだった

「今年は会社での飲み会も無いし、飲みたい気分なので飲みませんか?」


会社が終わり、自宅で夕食の支度中だった事もあり、一旦お断りしてしまったが

彼からの初めてのメールに

胸が熱くなってしまい、夕食の支度を終えると家を飛び出していた

「今向かっています、少し待っていただけませんか?」

「もう帰ります、また次回にしましょう」

それでも彼に向かって車を走らせた

「5分で良いので会って下さい」

「渡したいものもあるので」

彼は家に帰らず、待っていてくれた


会う事ができた

2回目の奇跡

彼は私の好意にはとっくに気づいていたような様子だった

でも、最初に言わなければならない事がある


「私、実は旦那も子供もいます。年齢も15歳上です。」

「貴方には感謝しています。ドキドキとかワクワクとか生きていると実感出来たから、勇気が湧いて、旦那とも話し合いが出来た。」

今、離婚の話し合いをしている事

家を出ようと思っている事

話せるだけ話した

「離婚したら言うつもりでした、好きです。」


彼からの言葉は

「離婚するまで連絡よこさないで下さい」

「離婚が成立したら、話くらいは聞きますけど」

「貴女があと10歳若ければなぁ」


「離婚したら、デートして下さい」

と、お願いしてみたけど

「デート?嫌ですよ。なんで好きでも無い人とデートしなくちゃならないんですか?」


振られてしまった


突然の飲みの誘いに

少し調子に乗ってしまったみたいだ

当然か

貴方はまだ若い、そしてかっこいい。若くてかわいい娘がいくらでも選びたい放題だ

でも、想いは溢れて、言葉にしないわけにはいかなかった

「でも、大好きです。」

そう言ってお別れした


振られたけど、気持ちは消えなくて

会って話した分、ますます彼に惹かれてしまっていた

いつか、彼と飲み友達になる日を夢見て

離婚を強く決意した


年が明けて

家族会議が行われた

お義母さんに反対に合い、子供の事を考えるように諭された

旦那は、お義母さんが話しているのを聞いているだけで何も言わなかった

確かにそれが、母親として正しい選択かもしれない

今は辛いけど我慢して尽くして尽くして

でも、その先には子供達の成長は約束されていて

それはそれで幸せってな人生なのかも知れない


彼にメールを送った

"離婚出来ませんでした。自分に自信がないと話していたけど、貴方は素敵な人です。自信を持って恋も仕事も一番良いものを手に入れて下さい。応援しています"

返信は、無かった


次の日、職場で

珍しく早朝から、彼の姿があった

普通に挨拶を交わす


その後、何か言いたげにこちらを

見ている姿があった

私は未だにあの時の事を後悔している

なぜ、ちゃんと耳を傾けなかったのか、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る