第2話 奇跡が起きた瞬間

離婚を切り出した旦那の反応は

無反応に近かった

すんなりと応じてはくれず、でも改善してくれる気配も無く

私自身もたくさん悩んだ

長年の歴史

世間体

子供達の事

でも、離婚の意思は固かった


その間も気になる彼への想いは募って行くばかりだった

不思議なもので、見ているだけで幸せだったはずが、休みの日はどう過ごしているのかな?何が好き?私服はどんな感じ?

どんどん知りたくなっていった

話がしてみたい

触れてみたい

こんな感情のまま、愛情の無い旦那の側にいる自分にも疑問を抱く


休み時間、勇気を振り絞って連絡先を渡して

返信が来るのを待った

ドキドキした

返信が来て繋がった時、とても嬉しかった

こんな感情、いつぶりかな?

些細なメールのやりとりも

返信が来ると嬉しかった


たくさん悩んで、友人に相談すると

3人で飲みに行こうか?

3人なら問題ないんじゃないか

と、提案してくれた

友人は、数ヶ月前に死ぬ思いをしたばかりだった、だからとても説得力があった

「せっかく生まれて来たんだから、後悔しないように生きよう」と

私の友人と3人で飲みに行く事を決意した

彼は戸惑いながらも参加承諾してくれた

嬉しかった、ワクワクしていた

勇気をくれた友人に感謝だ

ところが当日、友人は急用で突然のドタキャン

どうするか?

やめますか?と、なったものの

私はとても楽しみにしていたので

料理も予約してしまったし

「支払いがあるから私は行きます」

「2人きりで飲んだのが誰かにバレて気まずいなら変装して来て下さいね」

「もしも来てくれ無くても1人で料理食べて帰りますから」

そんなやりとりがあった

予約時間が過ぎても、彼は姿を現さなかった

30分待ち、もう来ないかと諦めかけ、お会計を済ませて帰宅しようかと思った時

彼は姿を現した

ドキドキした

予想した感じのファッションじゃなく、少し大人びた黒いシャツと黒いズボン、長いコート姿で現れて、いつもの作業着の姿とはイメージが違っていた

しかも、メガネをかけていた

思わず笑ってしまった

「本当に変装して来たんですね」

2人きりの飲み会になった

その日は、夢のような時間だった

たわいもない世間話や

仕事の話

家族の話

私服姿

目の前にいる

今まで見ているだけだった存在

幸せいっぱいの時間だった

神様ありがとう

今思い返しても、あの時の自分は世界一、いや宇宙一の幸せ者だったなって思う


だけど、肝心な事は言えないままだった


私が既婚者という事と年齢差が15歳もある事

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