第19話 ヤバいっ
「雄太くん、手繋ごう」
「え? あっ、うん」
俺は真奈美と手を繋いで寒い街の中を歩く。しばらくしてショッピングモールに到着した。早速、俺たちは建物の中に入る。
ショッピングモールの中にはたくさん恋人がいた。
手を繋いだり、腕を組んだり、色んな人達が周りを気にせずに堂々とイチャイチャしていた。
カップル多いな……。
ショッピングモールの三階に上がって、フードコートにやってきた。俺たちは空いている席に腰を下ろす。
「あっ、そうだ。雄太くん、渡したいモノがあるの」
「渡したいもの?」
真奈美はカバンの中からワイヤレスイヤホンの箱を取り出す。それを俺に渡してきた。
「はい、これ。クリスマスプレゼントだよ」
「これって……」
真奈美からワイヤレスイヤホンの箱を受け取る。
このワイヤレスイヤホンにはノイズキャンセリング機能が搭載されており、前から『これ欲しいなぁ』と思っていた。
けど、俺のお小遣いでは買えないから諦めたんだよなぁ……。
「雄太くん、前からそのイヤホン欲しいって言ってたから、バイト代で買ったんだ。嬉しい?」
「ああ、凄く嬉しいよっ。ありがとうな、真奈美っ」
「えへへ、どういたしまして」
俺たちは顔を近づけて唇を重ねる。彼女がプレゼントしてくれたワイヤレスイヤホンの値段は高い。3万円ぐらいする。
バイトをしていない学生の俺からすると、三万円のイヤホンは高すぎる。だから諦めたんだ。
そのイヤホンを真奈美がプレゼントしてくれた。嬉しいっ、凄く嬉しいっ。やっぱり俺は真奈美のことが好きだ。
「真奈美っ、大好きだっ。愛してるっ」
「アタシもだよ、雄太くんっ」
また俺たちは唇を重ね合う。ふと左右に目を向けると、色んな人たちがイチャイチャしている俺たちを見ていた。
一部の男性が俺に嫉妬を向けてくる。
周りの目を気にせずに俺たちは激しいキスを楽しむ。しばらくして俺たちは唇を離す。真奈美の顔は蕩けており、周囲にフェロモンを解き放っていた。
「雄太くんっ、もう我慢できないよっ……」
「俺もだっ……」
我慢できなくなった俺たちはショッピングモールを後にして、寒い街の中を歩く。指を絡めるように手を繋いで俺の家に向かう。
シたいっ。俺の家で早く真奈美とイチャイチャしたいっ。そう思っていると、急に背後から「雄太?」と女性の声が聞こえてきた。
気になった俺は身体を反転させると、私服姿の彩乃がいた。
彩乃の顔を見た瞬間、頭の中が真っ白になる。
ヤバいっ、ヤバいっ、ヤバいっ、ヤバいっ。
真奈美とイチャイチャしている現場を彩乃に見られてしまった。
手を繋いでいる俺と真奈美を見て、彩乃は絶句する。信じられないって顔をしていた。
「ねぇ雄太っ……なんで真奈美ちゃんと一緒にいるの?」
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