第14話 寝取られ?
今日は日曜日。学校は休みだ。
俺はベッドに寝転んでソシャゲをしていた。
「はぁ……」
俺は深いため息を吐く。
二週間前、彩乃と真奈美が教室の中で喧嘩をした。
激しい殴り合いを先生に見られたせいで、二人は停学になってしまった。
俺のせいだ、俺のせいで二人は暴走してしまったんだ。
俺が優柔不断じゃなかったら、二人は停学にならなかっただろう。
けど、俺はどうすればよかったんだ?
どうすればこんなことにならなかったんだ?
俺は彩乃が好きだ。真奈美のことも好きだ。
俺はどっちを選べばよかった……? 何が正解なんだ?
なんてことを思っていると、彩乃がメッセージを送ってきた。
ん? 急になんだ?
気になった俺はゲームを中断してメッセージを確認する。
『この動画、見て』
動画? 一体、何のことだ?
突如、彩乃が謎の動画を送ってきた。
この動画を観ろってことか?
とりあえず、俺はスマホの画面をタップして動画を再生する。
動画を再生した瞬間、スマホの画面に彩乃と謎の男の姿が映った。
俺はこの男を知っている。名前は川崎健斗。
彩乃の従兄弟だ。
『健斗くん、チューして』
『彩乃ちゃん、彼氏いるんだろ? 本当にいいのか?』
『うん、いいよ。早くチューして』
『はぁ……分かったよ。キスすればいいんだな?』
『うんっ……』
健斗は彩乃の肩を掴んで、瑞々しい唇を奪った。
健斗の唇と彩乃の唇が重なったのだ。
キスしている彩乃と健斗を見て、俺は「は……?」と間抜けな声を漏らす。
おいおい、なんだこれは……。
彩乃は俺のモノだぞ? なんで健斗が俺の彼女とキスしてんだ?
スマホのスピーカーからチュッチュッとリップ音が聞こえてくる。
『彩乃ちゃん、おっぱい触るよ……?』
『う、うん……』
健斗は彩乃の胸に手を伸ばす。健斗の指先が彩乃の胸に沈み込んだ。
おい、やめろっ……。彩乃の胸は俺のモノだぞ?
なんで健斗が彩乃のおっぱいを触ってるんだよっ。
そんなのダメだろっ。
健斗が手を動かすと彩乃の胸はムニュっと形を変える。
それを見て、俺の胸はギュッと締め付けられる。
やめろっ、お願いだからやめてくれっ……。
俺の言葉はスマホの画面に映る彩乃と健斗には届かない。
絶望に染まっている俺を無視して、動画の彩乃と健斗はイチャイチャし続ける。
どういうことだ? 彩乃は俺じゃなくて健斗のことが好きなのか?
いや、それはないはずだ。
だって、彩乃は俺に依存しているんだぞ?
いつも俺のためにお弁当を作ってくれて、頼んだらヤらせてくれる。
そんな彼女が俺を裏切って、健斗と浮気?
ありえない、そんなの絶対にありえないはずだ……。
ずっと動画を視聴していると、急に彩乃が電話してきた。
俺はすぐに電話に出る。
「もしもし、彩乃か?」
『うん、そうだよ……』
彩乃の声は暗かった。
「なぁ彩乃……あの動画はなんなんだ? お前と健斗はどういう関係なんだ?」
『どういう関係だと思う?』
「わからないから聞いてるんだよ……。お前、
『ううん、付き合ってないよ』
付き合ってないのか。
それを知って俺は安堵の胸を撫で下ろす。
よかった……。
だが謎だ、どうして2人は恋人じゃないのにキスしていたんだ?
『ねぇ雄太……』
「なんだよっ……」
『お願いっ、真奈美ちゃんと別れてっ。あのクソ便器を捨てて、アタシだけのモノになって』
「……」
彩乃の言葉に俺は沈黙する。
俺は彩乃のことが好きだ。
だけど、俺は真奈美のことも好きだ。
彩乃だけのモノにはなれない。
「悪い……お前だけのモノにはなれないっ」
『どうして……どうしてアタシだけのモノになってくれないのっ!!』
「すまんっ……」
俺がそう言うと、彩乃は黙り込む。
そのせいで部屋が静寂に包まれる。
しばらくして彩乃は言った。
『アタシ、健斗くんのモノになるよっ……? それでいいの?』
「え? は……? 何言ってんだよっ、お前」
健斗のモノになるだと?
おいおい、何言ってんだよっ。
お前は俺のモノだろ?
『雄太はアタシと健斗くんが付き合ってもいいの? アタシと健斗くんがセックスしても平気なの?』
「や、やめろ……それだけはやめてくれっ」
『ならアタシだけのモノになってよっ!』
「だからっ、それは無理だって言ってるだろっ……俺は真奈美のことも好きなんだよっ。お前だけのモノにはなれない」
『じゃあ健斗くんのモノになるよ? 健斗くんとたくさんベッドの上でイケないことするよ? 本当にそれでいいの?』
「そんなの嫌に決まってるだろっ……」
『なら真奈美ちゃんと別れて。アタシだけのモノになって』
「……」
『アタシのモノになってくれないんだったら、健斗くんと付き合うよ? 健斗くんとたくさんセックスするよ?』
真奈美と別れないと、彩乃は健斗のモノになってしまう。
あの彩乃が俺のモノじゃなくなるっ……。
俺はさっき彩乃が送ってきた動画を思い出す。
動画の健斗は何回も彩乃の胸を触っていた。
健斗が豊満な胸を揉む度に、彩乃は「んっんっ……」と甘い吐息を漏らしていた。
凄く気持ち良さそうだった。
あの動画を思い出して、チクチクと胸が痛む。
軽い眩暈に襲われて、視界がクラクラする。
彩乃が健斗のモノになるのは嫌だっ。
コイツを独り占めしたいっ。俺だけのモノにしたい。
そう思った俺は震えた声で彩乃の言葉に返事した。
「分かった……真奈美と別れるよ」
『え……? 本当?』
「ああ、本当だ。真奈美と別れるよ。だから、健斗のモノにならないでくれ。俺だけのモノになってくれ」
『うんっ、なるっ。雄太だけのモノになるっ。アタシを好きにしていいのは雄太だけだよ……』
「もう二度と健斗におっぱい触らせるなよ? 分かったなぁ?」
『うん、わかった。このおっぱいを好きにしていいのは雄太だけだよ』
「彩乃……」
俺は真奈美を捨てて彩乃を選んだ。
本当にこれで良かったのかな……。
いや、ダメだっ。これは絶対にダメだっ。
やっぱり、真奈美と別れたくないよっ。
だが、真奈美と別れないと彩乃は健斗のモノになってしまう。
それは嫌だっ……。
だから、
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