第10話 許せないっ

 ――放課後――


 学校全体にチャイム音が鳴り響く。

 午後の授業が終わり、やっと放課後だ。


 帰宅部は勉強道具をカバンの中に仕舞って帰路につく。

 部活に所属している生徒は教室を出て、部室に向かっていく。

 教室の中に俺と真奈美だけが残った。

 俺たち以外は誰もいない。


「雄太くんっ、ここでキスしよう」

「え? は……? ここ教室だぞ……? 流石に不味いって」

「大丈夫、大丈夫♪ どうせ誰も来ないよ」


 真奈美は背伸びして俺の唇にチュッとキスしてくる。すぐに唇を離して、真奈美は「ふふ」と楽しそうに笑う。


「学校でキスすんのドキドキするね……」

「だなぁ……」


 俺は真奈美の腰に手を回して、彼女の瑞々しい唇を奪う。

 教室の中にチュッチュッとリップ音が鳴り響く。


 真奈美と教室でキスすんのめっちゃドキドキする……。

 バクバクと心臓の鼓動が速くなり、頭の中がピンク色に染まる。

 もうわけが分からない。


 唇を離すと、透明な糸が引いていた。

 真奈美の顔は蕩けており、周囲に妖艶なオーラを解き放っている。

 完全にスイッチが入っているなぁ……。


「雄太くんっ……もう我慢できないよっ。ここでエッチぃことしようっ」

「え? は……? 流石にそれは不味いだろ。ここ学校だぞ? 誰かにバレたら退学になるかもしれないし……」

「ふふ、それがいいんだよっ」


 真奈美はそう言ってチュッとキスしてくる。

 彼女にチュッチュッとキスされる度に、どんどん理性の壁が溶けていく。

 ヤバいっ、そんなことされたら、もう我慢できないよっ……。

 

「ねぇねぇ、学校でイケないことしようよ? ここでたくさん私のこと求めてっ」

「だ、ダメだって……そういうのは家でしようぜ」

「家はダメ……今日はお母さんがいるもんっ。雄太くんの家にも妹さんいるんでしょ?」

「ま、まぁな……」

 

 今日、俺の家には妹がいる。真奈美の家にもお母さんがいるようだ。


「そんなに私とするの嫌……?」

「そんなわけないだろっ。俺だって真奈美とここでしたいよっ」

「じゃあここでしようよっ。たくさんイケないことしようよっ」

「……本当にいいのか? どうなっても俺は知らないぞ?」

「うんっ、いいよ。たくさん私のことムチャクチャにしてっ。二人でイケないことしよっ」

「真奈美っ……」






 ◇◇◇






【彩乃 視点】


 あっ、ヤバいっ。教室に勉強道具を忘れてしまった。

 それに気が付いたアタシは教室に向かう。

 やっと教室に到着した。

 

「真奈美っ」

「雄太くんっ……」


 突如、教室の中からチュッチュッとリップ音が聞こえてきた。

 男性と女性の声も聞こえてくる。


 ん? 教室の中に誰かいるのかな? 

 気になった私はドアの隙間から教室の中を覗く。

 すると、キスしている雄太と真奈美ちゃんの姿が視界に入った。

 チュッチュッと楽しそうにキスしている二人を見て、アタシは思わず「……ぇ……」と絶望交じりの声を漏らす。


 なんで雄太は真奈美ちゃんとキスしてるの? 

 これって浮気だよね? ねぇ浮気だよね?


 ダメだよっ、雄太……。

 アンタの彼女は真奈美ちゃんじゃないよ。

 アンタの彼女はアタシだよ?

 どうしてアタシ以外の女の子とキスしてんの? 

 どうして真奈美クソカスと愛し合ってるの? 

 そんなのダメだよっ。絶対ダメだよっ……。


 雄太は真奈美ちゃんの胸に手を伸ばす。

 雄太の指先は真奈美ちゃんの胸に食い込んだ。


「もう雄太くんったら、どこ触ってるの……?」

「おっぱい触ったらダメ?」

「ううんっ、雄太くんならいいよ。私の大きなおっぱい好きにして……」

「真奈美……」


 雄太はモミモミと真奈美ちゃんの胸を堪能する。

 ムニュっと真奈美ちゃんの胸は形を変える。


 ずっとイチャイチャしている二人を見ていると、真奈美ちゃんと目が合った。

 真奈美ちゃんは私の顔を見て、驚愕に満ちた表情を浮かべる。

 驚いている様子だった。

 けど、すぐに彼女は「ふふ」と小悪魔のような笑みを浮かべる。

 

「ねぇ雄太くんっ。昨日みたいにたくさんしよう……」

「いいんだなぁ? マジでするぞ?」

「うんっ、きて……」


 真奈美ちゃんはアタシの顔を見ながら雄太と熱いキスを繰り返す。


 ディープなキスをしている二人を見て、ギュッと胸が圧迫する。

 目頭が熱くなり、ボロボロと涙が頬を伝って床に零れ落ちる。

 やめてっ、もうやめてよっ……。


 雄太っ、どうして真奈美ちゃんと浮気するの? 

 アタシだけじゃダメなのっ……? 

 雄太はもうアタシのこと好きじゃないのかな……。

 アタシの身体に飽きちゃったのかな。

 無数の疑問が浮かび上がる。


 雄太はアタシには気づいていない。真奈美ちゃんに夢中だ。


 雄太は真奈美ちゃんの胸やお尻を触る。

 真奈美ちゃんも雄太の身体を厭らしい手つきで触る。


 どんどん雄太と真奈美ちゃんはバカになり、最終的に二人は教室の中で混ざり合う。

 そう、二人は教室の中で繋がったのだ。

 愛し合っている二人を見て、怒りが込み上げてくる。


 許せないっ、あの真奈美クソ女だけは絶対に許せないっ。あの真奈美クソ女から雄太を取り返してやる。


 雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太。

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