第9話 繋がる
現在、俺は真奈美の部屋にいた。
真奈美のお父さんとお母さんは仕事で家にいない。
つまり、真奈美と二人きりってことだ。
真奈美が俺の太ももに手を乗せてくる。
彼女の軽いボディタッチにドキドキと心臓の鼓動が速まる。
「ねぇ雄太くん」
「ん? どうした……?」
「彩乃ちゃんとはどこまでしたの……?」
「やっぱ気になる?」
「うん、凄く気になる……」
「アイツとは最後までしたよ」
「……」
俺の言葉に真奈美は黙り込む。
真奈美の瞳は真っ暗に染まっており、表情がいつも以上に冷たかった。
「ふーん、本当に彩乃ちゃんと最後までしたんだ……」
「まぁな……」
「雄太くんのバカ……」
真奈美はそう言って、ちょっと強引に俺の唇を奪ってきた。
彼女は俺の側頭部を掴んで、舌を差し入れてくる。
俺は真奈美の舌を受け入れて、何度も熱いキスを交わす。
キスしてしまった。彩乃を裏切ってしまった。
最低だ、俺は本当に最低だ。
強烈な罪悪感を感じる。
その罪悪感は興奮に変換されて、もっと真奈美のことが欲しくなる。
何十秒も熱いキスを交わしていた俺たちは、ゆっくりと顔を離す。
真奈美とキスしすぎて口元から涎が垂れていた。
「ぷくく。雄太くん、ヨダレ垂れてるよ? 私が舐め取ってあげるね」
真奈美は自分の唇を俺の唇に押し付けて、ジュルジュルと俺のヨダレを吸い込む。
そして、ゴクリと俺のヨダレを飲み込んだ。
「雄太くんのヨダレ美味しい……」
「本当かよ? 嘘言ってない?」
「嘘じゃないもん……本当に美味しいよ?」
「そ、そっか」
「うんっ」
再び俺たちは顔を近づけて唇を重ねる。
何度も真奈美と熱いキスを繰り返していると、ジワジワと身体が熱くなる。特に下半身が熱い。
ほしいっ、真奈美が欲しくて仕方ない……。
真奈美とのキスが気持ち良くて俺の理性は完全に消滅する。
もうダメだっ、我慢できないっ。
俺は真奈美を押し倒す。
俺の大胆な行動に真奈美は驚く。けど、すぐに真奈美は「ふふ」と悪戯に笑う。
「私としたくなった……?」
「うん……したいっ」
「ふふ、いいよ。私の身体好きにして……」
◇◇◇
「あんなエッチぃこと彩乃ちゃんともしたの?」
「ま、まぁな……」
「ふーん……ああいうこと彩乃ちゃんとしたんだっ。はぁ……なんかイライラしてきた」
俺の言葉に真奈美は不機嫌になる。
「あ、あの……真奈美さん? もしかして嫉妬してる?」
「そりゃ嫉妬するよっ……雄太くんも私が他の男の子とイチャイチャしてたら嫉妬するでしょ?」
「うん、絶対嫉妬すると思う」
「ふふ、ちゃんと嫉妬してくれるんだっ。嬉しいっ」
俺の返事に真奈美は幸せそうな笑顔を咲かせる。
嬉しそうだった。
真奈美は可愛いなぁ……。
ふと彩乃の顔が脳裏に浮かぶ。
今日、俺は真奈美と最後までした。
そう、俺は
クソっ、何やってんだよっ、俺は……。
真奈美に『雄太くんのこと好きだけど、キスはしたくない』と言われて俺はショックを受けた。
そんなとき、彩乃がキスさせてくれた。
お口でお手伝いまでしてくれた。
それだけじゃないっ。最後までヤらしてくれた。
彩乃とエッチするとき、俺は少しだけ怖かった。彩乃はもっと怖かっただろう。
けど、勇気を出して俺に初めてを捧げてくれた。
なんで素敵な彼女がいるのに、俺は浮気してんだよっ。
最低だっ、俺は本当に最低だっ。
こんなのダメだろっ……。
チラッと横を見ると、全てを曝け出した真奈美が視界に入る。
シミ一つない綺麗な肌や豊満な胸が丸見えだ。
彼女の美しい身体を見て、また理性が希薄する。
頭の中が真っ白になって、真奈美のことしか考えられなくなる。
ヤバいっ、さっきたくさんしたのに、また変な気持ちになってきた。
異変に気が付いた真奈美は「ふふ」と笑う。
「またシたくなった……?」
「うんっ……」
「あはは、凄い体力だね。さっきあれだけしたのに……」
「真奈美が可愛すぎてもっとシたくなるんだよっ。あぁぁ……やばいっ、もう我慢できないよっ」
「ふふ、いいよ。もう一回私のこと可愛がって」
「え? マジで? いいの?」
「もちろんだよ。私の身体好きにして」
「真奈美……」
俺は真奈美の唇を奪う。彼女は俺の唇を受け入れてくれる。
真奈美の唇はゼラチンのように柔らかい。しかも、甘酸っぱい味がするんだっ。
最高だっ、もう真奈美のことしか考えられないよっ……。
そっと唇を離して俺たちは視線を交わす。
「ねぇ雄太くんっ、これからも私とエッチぃことしようね……?」
「けど、俺には彩乃が……」
「分かってる。雄太くんは彩乃ちゃんのことが好きだもんね。けど、私のことも好きでしょ?」
「それは……」
真奈美の言葉に俺は返事を窮する。
そんな俺を見て、真奈美はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「ふふ、やっぱり、まだ私のこと好きなんだっ」
「っ……ああ、そうだよ。まだ真奈美のこと好きだよっ。好きだからシたくなるんだよっ」
真奈美に『結婚するまでキスはダメ』と言われて、俺は彼女のことが嫌いになった。そう思っていた。
けど、違った。俺はまだ真奈美のことが好きだっ。
真奈美の顔を見ていると、頭の中が真っ白になる。
もっと彼女のことが欲しくなるっ。
俺はガチで真奈美のことが好きなんだよ。
けど、俺は彩乃のことも好きだ。
彩乃と一緒にいると心の奥がポカポカする。
身体が安心感に包まれる。
真奈美と彩乃、俺はどっちを選べばいいんだ?
「雄太くんっ、好きっ、大好きっ……ねぇお願いっ、もっと私のこと求めてっ。もっともっと私の身体に傷をつけて……」
「けど、俺は彩乃をうら……」
俺の言葉を遮るように真奈美は口を開いた。
「大丈夫っ、これは二人だけの秘密。どうせ、彩乃ちゃんにはバレないよ。だから、もっとしよう……」
「真奈美っ……」
真奈美の言葉に脳内がトロトロに蕩ける。
本能が『真奈美が欲しいっ!』と叫び始める。
もっと真奈美の蕩けた表情が見たい。
もっと真奈美の甘い声が聞きたい。
もっと真奈美の肌を感じたい。
だから、
「真奈美……」
「雄太くんっ……」
もっと真奈美を求めた。
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