第8話 浮気
【雄太 視点】
俺と彩乃はラブホテルにやってきた。
早速、建物の中に入って液晶パネルを操作する。
この液晶パネルを使って部屋を選ぶようだ。
部屋を選んだあと、俺たちはエレベーターの中に入る。
エレベーターの中は静かだった。物音一つしない。
「ねぇ」
彩乃が話しかけてきた。
「ん? どうした?」
「雄太はラブホに来たことある?」
「あるわけねぇだろ。今日が初めてだよ。彩乃は?」
「アタシも今回が初めてだよ」
「はは、そっか」
「うんっ」
彩乃と会話していると、エレベーターのドアが自動的に開かれる。
俺たちは手を繋いで個室に移動する。
個室には大きなベッド、個包装に包まれた薄いアレ、大人のおもちゃなどが見受けられた。
ここがラブホテルか。
意外と綺麗だなぁ……。
「もうする……?」
「うんっ、早くしようぜっ」
「あはは……雄太はアタシとするの大好きだよね」
「ああ、大好きだ。彩乃はどうなんだよ? 俺とするのは好きか? それとも嫌か?」
「ううんっ……全然嫌じゃないよ。アタシも雄太とすんの大好き」
「エッチだな、彩乃は」
「雄太に言われたくないんですけど」
彩乃は「ぷくく」と楽しそうに笑う。
つられて俺も笑った。
◇◇◇
ベッドの上で彩乃とプロレスごっこをした。
そのせいで全身に汗粒が浮かんでいた。
チラッと横を見ると、彩乃は「はぁ…はぁ…はぁ…」と乱れた息を整えていた。
「彩乃っ」
「ん? なに?」
「もう一回したいんだけど……ダメか?」
「えぇぇぇ……まだしたいの?」
「うんっ、彩乃ともっとしたいです。もう一回ヤらせてくださいっ、お願いしますっ」
「さっきあれだけしたのに……さすが絶倫大魔王。凄い体力だね」
彩乃は「はぁ……」と深いため息を吐く。呆れている様子だった。
「いいよ、もう一回だけヤらせてあげる」
「ま、マジで?」
「うんっ、マジマジ。たくさんアタシのことムチャクチャにして」
「彩乃……」
◇◇◇
――次の日――
三階の空き教室。
その中には無数の机と椅子が並んでいた。
窓から野球部やサッカー部の声が聞こえてくる。
その静かな教室に俺と真奈美がいた。俺たち以外は誰もいない。
「話ってなんだよ?」
俺がそう言うと、真奈美はビクッと身体を震わせる。
緊張しているように見えた。
「雄太くんは……彩乃ちゃんと付き合ってるの?」
「あぁ、そうだ……」
「なんで……彩乃ちゃんなの? 私じゃダメなの?」
「真奈美じゃダメだっ。お前とはもう付き合えない」
「っ!?」
俺の冷たい言葉に真奈美は泣き始める。
彼女の目から熱い涙が教室の床に零れ落ちる。
泣いている彼女を見ていると、罪悪感に駆られる。
申し訳ない気持ちになるっ。
「なんで彩乃ちゃんなの!? なんで私じゃダメなのっ!?」
「それはその……キスさせてくれないから」
俺の言葉に真奈美は小首を傾げる。
困惑している真奈美を無視して、俺は続きの言葉を紡ぐ。
「結婚までキスを我慢することなんて俺にはできないよっ」
「どうして結婚まで我慢できないのっ?」
真奈美の問いに怒りが込み上げてくる。
俺は口を開いて、怒りの感情を真奈美にぶつけた。
「我慢できるわけねぇだろっ!! 真奈美のことが好きだからキスしたくなるんだよっ! なのにっ……結婚するまでキスは禁止? ふざけんなぁ! そんなの無理に決まってるだろっ!!」
「……」
俺はまだ真奈美のことが好きだ。
彼女の凛々しい顔立ちを見ていると、ドキドキと胸が高鳴る。
頭の中が真っ白になる。
たぶん、まだ俺は彩乃より真奈美の方が好きだっ。
そうだよ、俺の1番はまだ真奈美なんだよっ。
世界で一番大好きな真奈美とキスしたい。いや、キス以上のことをしたいっ。
言葉だけでは表現できない愛を真奈美に伝えたい。
もっと彼女の肌を感じたい。
心だけじゃなくて身体も一つになりたいんだよ。
だけど、真奈美は結婚するまでキスさせてくれない。
結婚までキスは禁止?
そんなの無理だっ。我慢できないよっ……。
「そんなに私とキスしたいの……?」
「したいに決まってるだろっ……」
「うん、いいよ……」
「え……?」
「雄太くんならいいよ。ここでキスしよっか……」
「……」
真奈美の言葉に思考回路がショートする。
コイツ、さっきから何言ってんだ?
ダメだ、急展開に脳の処理が追いつかない。
混乱している俺を見て、真奈美は不思議そうな表情を浮かべる。
「どうしたの? 今なら私とチューできるよ? ううん、キス以上のこともしていいよ?」
「キス以上だと……? それって」
「うんっ、雄太くんなら私の身体好きにしていいよ? ほら、早く私の身体ムチャクチャにしてよっ。たくさん私の身体にキスマークつけてよっ」
真奈美の言葉に俺は黙り込む。
コイツ、俺のことからかってんのか?
真奈美の顔は真剣だった。とても嘘や冗談を言っているようには見えない。たぶん、真奈美はガチだ……。
だから混乱してしまう。
「……本当にお前の身体好きにしていいのか?」
「うんっ、雄太くんならいいよ」
真奈美は俺の右手首を掴んで、大きな胸に導く。
手の平に真奈美の柔らかい胸の感触が伝わる。
初めて真奈美の胸を触った。
凄く柔らかいのに、俺の手を押し返す弾力まで感じる。
これが真奈美の胸か。
凄く柔らかいなぁ。
「どう? 私の胸は?」
「凄く柔らかいよ……」
「ふふ、そっか……。ねぇ雄太くん、もっと私のおっぱい触っていいんだよ?」
真奈美の言葉に理性が破滅する。
頭の中がピンク色に染まり、もうわけが分からなくなる。
もうどうなってもいいや……。
ちょっと手に力を入れると、指先が真奈美の胸に沈み込む。
円を描くように胸を揉むと、真奈美は「んっ……」と蜂蜜のような甘い吐息を漏らす。
「彩乃ちゃんの胸は揉んだことあるの?」
「ああ、あるよ……」
「ふーん、あの
俺の言葉に真奈美はムクーっと頬を膨らませる。
嫉妬しているようだ。
今日の真奈美はいつも以上に可愛いなぁ……。
ずっと真奈美の胸を揉んでいると、チラッと脳裏に彩乃の顔が浮かぶ。
俺には
彩乃は本当に優しい。
俺のためになんでもしてくれる。
今日も早起きして俺の分のお弁当を作ってくれた。
そんな素敵な彼女がいるのに、俺は
やっぱり、これって浮気だよなぁ……。
最低だ、今すぐやめないとっ。
けど、止められないっ。身体が勝手に動いてしまう。
「ねぇ雄太くん、私の家でエッチぃことしよう」
「け、けど……俺には彩乃が」
「大丈夫だよ。どうせ、あの
「……」
「雄太くんっ、二人でたくさん気持ち良くなろう……私、雄太くんとしたいよっ。大好きな雄太くんにムチャクチャにされたいよっ……ねぇお願い、たくさん私の身体に傷をつけて……私をあなたの女の子にしてっ」
真奈美の甘い誘惑に俺の脳はトロトロに蕩ける。
今なら真奈美と最後までできる。
彼女の身体をムチャクチャにできる。
だからっ、
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