第6話 浮気はダメだよ?
【彩乃 視点】
雄太には彼女がいる。
彼女の名前は
雄太が『俺、真奈美と付き合うことになったんだ』と報告してきた時は本当に辛かった。
なんで真奈美ちゃんと付き合ったの……?
なんでアタシのこと選んでくれないのっ?
アタシの方が雄太のこと好きなのにっ。
世界で一番雄太のこと愛してるのにっ……。
異常な虚無感に襲われて、何もする気になれない。
これが失恋か……。
たまにイチャイチャしている雄太と真奈美ちゃんを目撃する。
真奈美ちゃんと楽しそうに会話している雄太を見ていると、嫉妬で頭の中が狂いそうになる。
許せないっ、真奈美ちゃんだけは絶対に許せないっ。
あのクソ女から雄太を奪ってやる。
そう心に決めた。
そして、ついに真奈美ちゃんから雄太を奪うことに成功した。
雄太は真奈美ちゃんを捨ててアタシを選んでくれたの。
嬉しいっ、凄く嬉しいっ。
これで雄太はアタシのモノだ。誰にも雄太は渡さない。
今日も雄太とベッドの上で愛し合った。
そのせいでベッドのシーツはクシャクシャになっていた。
隣で雄太は寝ている。
「雄太」
アタシは寝ている雄太にチュッとキスする。
雄太はアタシだけのモノだ。誰にも渡さないっ。絶対に渡さない。
「雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太、雄太」
好きっ、雄太のことが大好きっ。
早く雄太の子供が欲しいよっ……。
◇◇◇
【雄太 視点】
今日は10時から彩乃とデートだ。
スマホで現在の時刻を確認すると『9時45分』と表示されていた。
そろそろ、集合場所に行くか。
俺は家を出て集合場所に向かう。
集合場所は駅の広場だ。
しばらくして駅の広場に到着した。
左右に首を動かしても彩乃の姿は見当たらない。
アイツ、まだ来てないのか。
スマホをイジッて暇を潰していると、急に視界が真っ暗になる。
誰かが俺の目を手で覆ったのだ。
「だーれーだ?」
後ろから女性の透き通った声が聞こえてきた。
「彩乃か?」
「ふふ、そうだよ。雄太の大好きな彩乃ちゃんです」
彩乃はそう言って俺の目から両手を離す。
俺はゆっくりと身体を反転させると、私服姿の彩乃が視界に入った。
上は身体にピッタリとした白いニット。
露出度の少ない服なのに、普段よりもセクシーなオーラを解き放っている。
下はタイトスカートであり、お尻の曲線が強調されていた。
なんか今日の彩乃はエロいなぁ。
ついつい胸やお尻をチラ見してしまう。
周りに目を向けると、色んな人達が彩乃をチラ見していた。
特に彩乃の胸やお尻をチラチラと見ていた。
おい、俺の彼女の胸とお尻を見るなぁっ。
コイツの胸とお尻は俺だけのモノだぞ?
なんてことを思っていると、彩乃が俺に話しかけてきた。
「オシャレしてきたんだけど……どうかな?」
「マジで可愛いよ、彩乃……」
「本当に? 適当なこと言ってない?」
「いや、マジだって。今日の彩乃は最高に可愛いよっ」
「っ……あ、ありがとうっ」
俺が『可愛い』と連呼すると、彩乃の顔はリンゴのように赤くなる。
耳も真っ赤だ。
照れているのかな?
「そ、その……雄太も凄くかっこいいよ?」
「え? 本当か?」
「うんっ……」
「ははっ、ありがとうな、彩乃」
俺はそう言って彩乃の唇にチュッとキスする。
俺の大胆な行動に彩乃は目を見開く。
顔は更に赤くなっていた。
「ちょ、ちょっと……急にキスしないでよっ」
「え? ダメだった?」
「べ、別にダメではないけど……」
「じゃあもう一回だけキスしていい?」
「し、仕方ないなぁ……あと一回だけだよ?」
「おう」
俺は彩乃の肩を掴んで唇を合わせる。
チラッと周りに目を向けると、色んな人たちがキスしている俺たちを見ていた。
ずっとイチャイチャしている俺たちを見て、色んな男性が「ちっ……」と舌打ちする。
俺に嫉妬を向けてくるヤツもいた。
ソイツらを無視して彩乃と熱いキスを楽しむ。
何十秒もキスしていた俺たちはそっと唇を離す。
「外でキスすんの恥ずかしいね……めっちゃドキドキしたよ」
「だなぁ……」
俺たちは横に並んで映画館に向かう。
今日は彩乃と一緒に映画を観るんだ。
突如、彩乃が腕を組んできた。ムニュっと豊満な胸が腕に押し付けられる。
「お、おい、彩乃……」
「ん? なに?」
「おっぱい当たってんぞ?」
「ふふ、わざと当ててるんだよ。嬉しい?」
「そ、そりゃ嬉しいけど……」
俺の返事に彩乃は「ぷくく」と楽しそうに笑う。
「雄太はアタシのおっぱい大好きだよね」
「ああ、大好きだよっ」
「真奈美ちゃんのおっぱいより好き?」
「それは……」
「あはは、ちょっと意地悪な質問しちゃったね。ごめんね……」
「いや、別にいいよ」
彩乃と腕を組みながら他愛のない話をする。
やっぱり、彩乃と会話するのは楽しいな。
なんだろう、凄く安心するだよなぁ。
しばらくして映画館に到着した。
俺たちは自動券売機で観たい映画のチケットを購入する。
売店でポップコーンとドリンクを購入したあと、俺たちは劇場に足を踏み入れる。
劇場にはたくさん人がいた。カップルが多い気がする。
「カップル多いなぁ」
「ふふ、そうだね」
俺たちは座席に座って、ポップコーンを食べ始める。
チラッと横を見ると、彩乃の豊満な胸が視界に入った。
このおっぱい、マジでデカいなぁ……。
俺は彩乃の胸に手を伸ばして、モミモミと揉み始める。
すると、彩乃の顔がカッと赤くなる。
「ちょ、ちょっとっ……どこ触ってんの?」
「いいじゃん、ちょっとだけ触らせてよ」
「し、しょうがないなぁ……ちょっとだけだよ?」
「サンキュー、彩乃」
俺は円を描くように彩乃の胸を揉む。
劇場内が薄暗いので誰も俺が彩乃の胸を揉んでいることに気づいていない。
ずっと彩乃の胸を堪能していると、やっと映画の本編が始まった。
「ねぇいつまでアタシのおっぱい揉んでるの? もう映画始まってるよ?」
「あっ、わりぃ、わりぃ……」
俺は彩乃の胸から手を離して映画に集中した。
◇◇◇
二時間後、やっと映画が終わった。
それと同時に館内が明るくなる。
チラッと横を見ると、彩乃と目が合った。
「面白かったなぁ」
「うん、そうだねっ」
俺たちは映画館を出て、街の中を歩き始める。
彩乃と映画の良かったところや悪かったところを話していると、急に後ろから「雄太くんだよね……?」と女性の声が聞こえてきた。
気になった俺と彩乃は後ろを振り向くと、私服姿の真奈美が視界に入る。
手を繋いでいる俺と彩乃を見て、真奈美は絶望に染まった表情を浮かべていた。
ヤバいっ、俺と彩乃の関係を真奈美にバレてしまった。
いや、けど、もう俺と真奈美は別れている。
これは浮気じゃない。そうだっ、これは浮気じゃないんだっ。だから、俺は何も悪くないはずだ。
そう思っていると、真奈美が俺に言葉を投げてきた。
「ダメだよっ……雄太くん」
「は?」
ダメ?
何がダメなんだよ?
俺は何も悪いことしてないだろ?
視線で『どういう意味だ?』と問うと、真奈美はまっすぐ言葉を投げる。
「雄太くん……浮気はダメだよ?」
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