第2話

私は高校生になった。

 地元の、家から1番近い千葉の高校に通うことになった。実につまらない人生だと思う。


 部活動には入らない。特にやりたいことがないからだ。

 何かの部活で全国大会に出場したいとか、友達を作りたいとかそう言ったものはない。目標と言うものが存在しないのだ。

 私はニヒル的人物である。高校生になってもう私は、この世の全てを達観したようなそんな気持ちになっていた。


 中学から高校になって変化したこと。それはアルバイトを始めたこと。

 別に特別なアルバイトではない。そこら辺のスーパーでただレジ打ちをしているだけだ。ただ自分のお小遣いは自分で稼ごう。そう思って始めただけ。別にそのお小遣いで何か欲しいものがあるわけでもない。だからお金は溜まっていく。


 高校生になって半年過ぎた。未だに友達はいない。

 夏休みが終われば、二学期になれば何か変化するかもと、そんな神頼みのことを考えていた。

 家宝は寝て待て。だけど、この何もない私に寝て待って、何か来ることがあるのか。


 宝くじだって、当てるのには最低限、買わなければならない。そうしないとあたりすらもやってこない。そんなことは分かっている。だけどどうも動く気になれないのだ。柳のようにユラユラと揺れていくしか私はない。


 朝。登校。机の表面は、太陽の光によって熱がこもっていた。「へへ。お嬢さん。布団がいらないように机、温かめておきましたよ」と太陽さん。


 フフ。随分といらないことをしてくれているわね。それに追い討ちをかけるかのように、太陽の心地よい日差し。これが昼になると、猛獣のように鋭い牙を出してくる。そして炎天下という苦しみを与えてくれることを知っている。そうなったら私はクーラーが効いている図書室へ逃げるだけ。


 クラスの談合の声、聞こえる。

 それぞれ、バラバラの中学から来たはずなのに、半年も経てば万華鏡のガラのように綺麗な模様を作り出していた。私はその万華鏡のガラに入れない。


 だけどそれはしょうがないこと。だって私の中学から来た人なんて10人もいないもの。

 なんて、それは言い訳。知っているさ。その私以外の10人がボッチで過ごしていると言われれば違うもの。


 ボッチなのは私だけ。

 いや……違う。


 ふと、顔を上げる。ある机を見る。そこには今日も誰も座っていない。

 出席番号20番。

 だけど、その20ばんの人があまりにもこないため、クラスでは永久欠番と呼ばれている。


 茅野ちゃん。

 あの不思議な茅野ちゃん。同じ高校に入学した。

 そして同じクラスになった。数回ぐらいしか出席していない。


 そして彼女と私。未だ喋っていない。

 今、高校生活で1番気になるのは茅野ちゃんのことである。

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