第4話 猟師小屋
辺りを見回すと、いろんな道具が目に飛び込んできた。
おそらくここは、俺が様子を
床はすべて
俺の体は、筵の上にさらに毛皮を敷いて寝かされていた。熊の毛皮のようだ。
そして体の上には、誰かの衣が掛けられている。よく見ると、
少年は俺の顔をのぞき込み、
「のどは
「いや、必要ない」
俺は反射的にそう答えていた。
食べ物や飲み物には気をつけろ。特に、よく知らない相手から出された物は口にするな――幼い頃から、
それゆえ、考える前に拒否の言葉が口を突いて出た。
俺がまだ
彼は壁に取り付けられている
彼が差し出したのは、よくよく見覚えのある、刀と
「あなたが腰に差しておられた物です。そばに置いておきましょうか? それとも、片付けておいたほうがよろしいですか?」
そう問われたので、俺が、
「取りあえず、枕元にでも置いておいてくれ」
と頼むと、
「分かりました」
という返事とともに、かちゃりとそれらを置く音がした。何となくだが、先ほどまでより安心感がある。
俺は自分が着ている
「この小袖は?」
と少年にたずねた。
気を失っている間に、俺が着ていたのとは違う小袖に着替えさせられていたのだ。
彼は
「私の物です。あなたが着ておられた衣は血や
と教えてくれた。
状況を飲み込みきれず、俺が周囲をきょろきょろと
「何かご用があれば、
と言い置いて立ち上がり、炉のほうへ向かおうとした。
その立ち姿を見て、この小袖の持ち主なだけあって、俺よりずいぶん小柄だが、おまけに
違和感を覚えた。
何だろう、と考え、原因が分かった俺は、少年に確認した。
「そなた一人で、俺をここまで運んだのか?」
彼は足を止めて振り返り、
「いいえ。私だけでは難しそうだったので、手伝ってもらいました。あなたにも紹介しておきます」
と答え、方向転換して入り口の戸のほうへ向かった。
なんだ。やはりそうか。あの体格で俺ほど
少年は引き戸をすっと開けた。
そこにいたのは――。
「……鹿?」
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