第2話 侵入
山林の中の、ちょっと開けた場所に建つその小屋は、
新しい物ではなく、そこそこ年季が入っていそうだ。風雨にさらされた年月が、独特の風格を
獣を狩る猟師か、もしくは木を切る
そういった
山人の小屋が、この
あるいは、昔と違って山の管理がゆるくなってるから、山の恵みを必要とする者が勝手に入り込んだんだろうか。
何にしても――これはちょうどいい。
俺はそっと、辺りの様子をうかがいながら小屋に近づいた。
折よく誰もいなければ、ここで休ませてもらおう。
ついでに、役に立ちそうな道具が置いてあったら拝借するか。ひょっとしたら、食料もあるのでは――そんなことを
もしも人がいたら――あきらめるしかない。
小屋の持ち主が親切で、事情を話したら俺を助けてくれて……などという展開になるのは、おとぎ話だけだ。
逆に殺されるか、捕まえられて敵方に突き出される。現実はそんなものだろう。
どうか、不在であってくれ。
神経を
誰もいない。
よし。
俺は小屋の引き戸に手をかけ、そろりそろりと開けようとした――が。
「そこで何をしておられるのですか?」
と、後方から男の声が聞こえた。
まずい! 見つかった!
女ならまだしも、男なら生かしておくわけにはいかない。敵方に俺の存在を知らされるだけでもまずい。
声からして、向こうとの間にはそこそこ距離がある。逃げられぬよう、一気に
その瞬間。
何か大きな物が俺に向かって突き進んできて、ぶつかった。
「!」
あまりの衝撃に、俺の意識はあっという間に薄れていった。
それでも目には、声の主と
俺とあまり年の変わらない、少年らしき人影が――。
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