第6話 冬桜

まあ、家に来たとしてもすぐにはの話はしたくないわな。

自分達が一番嫌な話だし、もしかしたら話を聞いてぼんだって具合悪くなってしまうのが分かってしまうから。

「話せる内容やったら、話してええよ。」

ちょうど冷蔵庫の中に、炭酸系と麦茶が入っていたからどっちがええか聞いてからでもええと思うていたしね。

「すいません。」

さすがにさっきの年齢の事で、ちょっとこっちもへこんでるしまあからかわれたけど、気分的に落ち着いてきてるんかなぁ?

「改めて、ちゃんと自己紹介しとらんかったなぁ。バタバタしとったし・・・。」

「すいません。」

「謝らんでええよ。治療の方が先やったんやし、あのままやったら傷よりも心の方がぶっ壊れそうやったから。」

俺が炭酸の入ったジュースをコップに入れて、葉月くんに渡した。

なずなちゃんは、さっき大学から帰ってきたぼんと話してる。

「改めて、名字から聞いてええ?さっきはそれどころの話やなかったからね。」

「白河葉月です。」

「変わった名字やねぇ?珍しいから。」

白河・・・聞いた事ない名字やなぁ?

「よく言われるんですが、珍しいって訳でも・・・。」

「そやなぁ・・・。まあ、ええわ。傷痕とか見てすぐには察したんわさ、並大抵の傷やったらそんなに痕にならんって思うたんよね?もし話したくなかったんやったら、止めるけど。」

「僕が、小学校に上がる前から叩かれたり外に放置されたり色々されて姉貴も同様に蹴られたりされてて周りに誰も助けてくれる人も居なくて・・・。保健室の先生も児童相談所とかには話していたんですけど、父さんが頑固一徹で『何ともないですから』って言われて手出しできなかったんです。」

あーそれで、今回悠斗に強制連絡いっとったんやな。・・・把握した。

「んで、傷だらけで病院に駆け込んだと。」

こっくりと頷いて、ジュースを飲みながら軽く深呼吸した。

「安心してええよ。ここには暴力する人もおらんし、気が済むまでここにいてもええし。」

「ありがとうございます。あ、そうだ。皆さんは知り合いなんですか?」

「まあな。あの二人が兄弟で、わてはその友達って訳や。ちなみに、ここはわての家やで?家がバカでかいから、どうせならたくさん人間いた方が寂しくないやろって。」

本当は、極道やで?だなんて言えへんやんか。

一応、極道の印象だってどう見てるかわからんのに。

「悠斗さんは、歳っていくつなんですか?」

キッチンにいた悠斗に、歳の話を切り出した。

「僕ですか?・・・一応、今年で30なんですがね。どうやら、若くみえるみたいで。」

だから、こっちみてニヤニヤすんやな。

「あ、さっきは姉貴がすいませんでした。」

「気にせんで、ええよ。ある意味、間違ってはないから。今年で40やし、だいたい会っとったし。」

「りゅう・・・せいさんって、変わった名前ですよね。」

「呼びやすい方でええよ。ほとんどが、龍聖呼びやけど。」

「りゅー兄ちゃん。こっちで遊ぼうよー!」

「じゃ、龍さんで。」

ニコッとする葉月くんを見て、大分安心したんやなぁって思うた。

問題はまだまだ山積みやけど、これから楽しみやなぁ~。

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