第4話 陽炎
葉月くんと話した内容は、すぐに「虐待》」だって分かった。
俺らと違う一般家庭でも、暴力はあるんやなぁ?
家族を傷つけるのは、流石に許せん。ましては、この子らに味方っていう人はいなかったんか?
「さっき、お姉ちゃんいるって話してたんやけど双子かなんかなん?」
さっきみたいにびくびくしなくなったし、おっちゃんって言われなくて良かった。
流石に、これでおっちゃん言われたら助走つけてヒモなしバンジージャンプするところやったんやから。
「うん・・・。あそこで看護婦さんに寄り添ってるのが、俺の双子の姉貴です。」
見た感じ、だいたい中学生ぐらいかなぁって思うたけどどこか幼く感じてしまったのはわてだけじゃないはず。
「姉貴・・・親父が発狂してから、幼児退行が始まってしまったんです。暴力はないんですが、ショックの方が大きくて。」
これは完全に自己責任、感じてるパターンやな。
「暴力は、自分が受けていて母親の代わりに無理やり体の関係とかやられたり・・・。母親は・・・母さんは、僕らを産んだ時に亡くなりました。」
よーするに、自分の性癖を自分の息子で発散しとった訳やな。
なんちゅう父親やねんっ!
そんなの、犯罪待ったなしやないか!
ふざけんやな‼️
自分の営みの相手に、自分の実の息子を選ぶなんて一番しちゃあかんやろうが。
男として最低やし、風俗とか使ったらええやんか。
やのに自分の実の息子に性欲処理して自分の娘には、食事も与えないって何を考えてるんや‼️
このままやったら、葉月くんもお姉さんである奈瑞菜ちゃんも死んでしまう。
あの時みたいに、誰も失いたくない。
「悠斗、俺・・・この子らを引き取ります。」
「龍聖さん。本当にそれで、良いんですか?」
「見過ごす訳には、いかんやろ?このままやったら、学校どころのもんだじゃなくなるで?」
学校よりまずは、身の安全が最優先や。
「学校には、後から説明するで?このままやったら、間違いなく見えてくるのは死やで?」
なりより見た感じ、
このまま放置は、おやっさんと女将さんを殺された時みたいになるのだけは嫌だ。
それよりもわてがキレているのは、それを学校的には「見てみないふり」をしている事。
大の大人が自分達の生徒の安全を、守らなくてどうするんだよ。
「確かに、龍聖さんの気持ちは分かりますがエコとしてだったら無理しないで下さいね。まあ龍聖さん自体は、龍臣みたいにとことんやりこむまで頑張ってしまう性格じゃないんで。」
これって、バカにされてるんかな?
「何が、言いたいん?」
「一応、無理するのは二人とも一緒だって言いたいんです。あの時だって、傷だらけで病院まで来た時にどこから治して良いのか分からなかったし傷の程度だって、判りずらかったんですから。」
確かに、そうなんやけど。
事実やし、嘘やない。
だけど
現に葉月君だっけ?お姉さん?と一緒に助けなきゃ、死んでしまうのが分かっていたしあんなに傷だらけで病院に来たからには少しぐらい救いの手なんて必要やないかっておもうてる。
「放置なんか出来へんよ。現に悠斗だって、本当は救いたいんやないの?」
「誰も放置するなんて、言ってませんよ?ただ医者として、父親と話をしなきゃならないのも分かっていますしそれからでも考えた方が良いと思ってるんです。龍聖さん自身は、龍臣や蒼空くんのように守りたいと思っているのは僕だって一緒なんです。」
まぁな、悠斗の気持ちも分かるんやけど。
「確かに、僕は龍臣の幼馴染みだけど辛いの黙ってみていられないは嫌なんです。これは、過去の事を知っていても医者としての意見なんです。貴方だって、あの二人や葉月くん達を助けたいのは分かりますし。」
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