第3話 助けて

 あれから16年後。

 わかは医者免許を取った。

 もちろん、元極道だと言う事で恐れられたりいじめの対象になりかけたり色んな事があったけど持ち前の精神力で何とかなったらしい。

 問題はぼんの方なんやけど、あれ以来裏人格のぼんが出てきては良くわての方が説教されてる。

表・・・蒼空の精神がズタボロ状態だったし、今は悠斗が精神科の先生をしているから月一回程度の診察をしてもらってる最中や。

まあ・・・わかが心配性全開で、自分の患者さんの診察そっちのけで蒼空の診察姿を見に行ってる事で病院内では悠斗の説教が響いているらしい。

自業自得って話せば、それまでなんやが。

正直、病院内では走り回らないでほしいのと大の大人が・・・男二人が、おいっかけっこは流石にきつい。

「今日は蒼空くん、診察じゃないからサボれませんね。」

たちが悪いぞ?

からかったって何にもならへんし、図星やったからわか・・・じゃない龍臣も何にも言えなくなったやんか。

「うぐっ!」

「龍臣が・・・あなたが、過保護なのは分かってますし心配なのは分かりますが仕事だけはこなしてくださいね?💧僕だって昔の事は、少しずつですが蒼空くんから聞いてはいますし。」

正直ざまぁみろって思うたけど、睨まれるのは嫌やし矛先がこっちに来そうなんよなぁ。

「腐りきってる組よりかは、ましだろうが。どうせ、ニヤニヤしてんだろうし。」

割りと早めの矛先向けんで下さい。

いつもニヤニヤしてる訳やないし、ある意味図星なんはわても自覚してますから。

「いつもやないで?ただなぁ~、分かりやすいんよ。本当に蒼空の事、好きなんやなぁって。」

からかいされたんやから、からかいかえさなぁ。

「そんなんじゃ・・・そんなんじゃねぇよ⁉️///」

照れた、照れた。

本当に分かりやすいですね、わかは。

「(ボソッ)龍のばか・・・。////」

「すいません、でも、仕返しはしたかったんで。んじゃ、ここで。」

わてが病院玄関ホールから出ようとした時、傷だらけの男の子がよたよたしながらぶつかってきた。

すぐにただ事じゃないなって感じたわては、割りと近くにいた悠斗さんに声をかけた。

「きみ、大分ボロボロやないか?良かったら話、聞くで?」

びくついてる辺り、誰かから暴力受けられたんやなって察しはついたけど。

こうもわて・・・老け顔なんやろうか?

へこむわ・・・。

「とりあえず、名前言えますか?」

「(ビクッ)・・・(名字が聞こえない)葉月・・・。」

「葉月くんだね。改めて、僕は足立 悠斗です。こちらは、ここで院長をしてる黒川先生。あっちでへこんでるのが、龍聖さんです。いつまで凹んでるんですか?💧」

「おっちゃん顔・・・やないのに・・・。」

「まあまあ、とりあえずは、話してください。」

悠斗がそう言うと、安心したのかボソッと話し始めた。

流石に精神科の先生やなぁって、関心はしたけどとりあえず今はちゃんと話を聞かなくちゃならんわぃ。

「・・・姉貴と僕を、助けてください。」

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