第14話 解放
後ろ姿がわたしに似ている。わたしはわたしの後ろ姿なんて見たことがないけれど、その人の後ろ姿を見たとき、なぜかそう思った。
だから、つい後をつけた。
その人はわたしの家の方角へと歩いていく。近所なのかしら。近所にわたしと似た人がいるのも居心地が悪い。
と、その人はわたしの家に入っていってしまった。呼び止める間もなく、あまりにも自然に「ただいま」と声をかけ玄関のドアを開けて中へ消えてしまった。
そして、わたしは帰る場所を失った。
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