第9話 やみつき

こいつが畑を荒らすから悪いんだ。


わたしは駆除した害獣を解体しながら言い訳をする。言い訳でもしないと解体なんて出来ない。相手が害獣とはいえ殺すんだから心が痛む。だったら解体なんてしなければいいのだけれど肉は食べたい。


美味しいってわけじゃない。臭味があって不味いくらいだ。だけど好きな味。これを味わいたくて獣害を容認しているところがあるのかもしれない。


命を奪う罪。

その生き物にとってはただ生きようとしているだけの行為。だがわたしにとっては害となる。害獣を理由に命を奪う。理由はどうあれ命を奪うことに変わりはない。


臭味があって不味い肉は罪深い味がする。自分の罪の味わい深さがわたしを魅了する。

不味いけれど好きな味。


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