第6話 道

突風にあおられ、わたしはくるくると道を転がった。空き缶が風に吹かれてカランカランと音をたてながら転がり回るのを見たことがあるけれど、自分がそんなふうに吹き飛ばされるとは思いもしなかった。ふしぎと目はまわらない。どこまで転がっていくのかしら。


と、次は空高く舞い上がった。上へ上へとあがっていく。なんにもない空に吸い込まれていくのは心地よかったが、こんな高いところから落ちれば死ぬほかないな、とも思った。


風に運ばれ、その勢いがなくなるとやがてわたしは落ちはじめた。が、落ちるには落ちるがふわりふわりと落下していくから、どうやら死にそうにはない。ひと安心。


地上に降り立ってみると見知らぬ風景。

ここはどこだろう。


ともかくも、わたしは歩きだす。

誰かに、なにかに出会うために。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る