第2話 天上大風
今日は風がないなあ
だったら書き初めをかねて
凧作りのために用意した紙を前にして、わたしは墨をする。今年最初に書く言葉。
天上大風
そしてわたしは凧作りをはじめる。
紙に竹ひごの骨をつけ糸を通し、しっぽをつける。
外に出たが、やはり無風のまま。だけど凧を揚げにわたしは運動公園へ向かう。揚がらないかも、なんて心配は微塵もない。この凧は揚がる。
運動公園でわたしは凧に風をはらませながら走る。走る。走る。
と、凧はすっうと上空へ高く高く揚がっていく。空に吸い込まれるように。
ここに風はなくとも天上には大風。
さすが良寛さん。
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