世界が変わった所で、生き方が変わる訳ではない。
戒堂律人
第1話
……………………………………………………………
「……ぐー…………ぐー…………」
……………………………………………………………
「……ぐー…………ぐー…………」
…………………………ピシッ…………………………
「……ぐー…………ぐー…………」
……………ピキッ………………ピキキッ……………
「……ぐー………………ぐがっ………………」
……………パキッ……………………ポロッ…………
「…………んぅー………………んー………………」
(…………ごろり………………どすんっ…………)
……バキッ………………………………………………
……………………バリバリバリッ……………………
…………………………………………ガシャーン……
(………ごろっ………………………どさっ………)
「……うーっ……、痛たた…。」
「…はぁ…、この歳になって…、ベッドから転がり落ちるなんて…、何やってんだろうか……。」
…はて、この部屋こんなに暗かったっけ。
外からの月明かりで、ぼんやり見えていたと思うんだけど。
「…んっ…、何でベッドが右側にあるんだ?」
ベッドは窓を背にして、左の壁にくっつける様にして置いてある。窓側を頭にして寝ているから、右に見えるのは変だ。
というか、ベッドの横には本が山積みになっているから、落ちるほどの空きスペースは無いはず。
じゃあ、壁が壊れたのか? 壁はコンクリートに木材の筈だから、欠陥住宅でも無い限りありえないだろう。
それに左隣は浴室だ。部屋との間に転がれるスペースなんてある訳無いじゃん。
「…んー、……はぁ……しょうがない………立って確認するか、…………面倒臭いけど…。」
少し目が慣れてきたな。
何だろうか…、身体の下にある、このキラキラとしたものは……痛っ……、ガラスの破片に見えるけど、断面に触れても切れる感じはしないな。
念のため、靴下履いとこ。
この部屋…、というより空間かな…、上下は白の…発光パネルの様なもの、左右は…見渡せない程に黒一色の……濃霧とでも言えばいいのか……よく分からないな…。
私の部屋の方はどうなっているんだろうか?
…黒い空間の途中に、ひび割れた箇所があるな。
あそこから入って来たのか。
此処は、何とも形容し難いな…、まるで現実のこととは思えない。しかし、夢とも思えない。
何処かに迷い込んでしまった様な不安な気持ちと、非日常に焦がれる様な気持ちが、綯い交ぜになって……あぁ、もどかしい。
はぁー、考えた所で答えが出る訳では無いし、
……ぶるっ……若干、肌寒く感じるし、一度戻って、上着でも羽織って来ようか。
んっ、部屋との境界線部分、黒のひび割れが、修復されてきてないか? 自動修復機能でもあるんだろうか?
しかしまあ…、気付けて良かった。
危うく帰れなくなる所だった…。
ふむ、……えいっ、……ポカッ、…………バリバリバリッ……………ガシャーン……。
ふぅ…、私の知った事では無いが、修復機能よりも強度を見直した方がいいのではないだろうか…。
さて、無事に部屋に戻れた訳だが…、あの空間の事は気になる。
まずは、ベッドを向こう側に押し込んで、修復を阻害する。
次に、上着を羽織って、スリッパも履いて、ペットボトルの水も持って行こうか…。着替えた方がいいかもだけど、面倒臭いしな…。うん、これでいい。
この空間に、だいぶ目が慣れてきたな。
向こうの方に何かあるが…、あれは一体……。
これは…、システムデスクとリクライニングチェアだな。
何とも場違いに感じるが…、はぁ……疲れたし、座ろ。
う~ん、これはいいね。何の素材なんだか、肌触りがいい。掛け布団も持って来るんだったな…、このまま寝られそうだ…………お休みなさい……。
「……すーっ…………すーっ…………」
……………………………………………………………
[…ナントモキノヌケル…シンニュウシャダナ…]
[…ニンゲントハ…コウイウイキモノデハ…]
[…ハハッ…オモシロイノガアラワレタネ…]
[…ソモソモ……マアイイシゴトヲスルカ…]
[……ケンサクチュウ……]
[…シゴトシゴト…]
[…称号【侵入者】を取得。…このログは秘匿されます。]
[…称号【異界の旅人】【破壊者】を取得。…このログは秘匿されます。]
[…称号【越境者】、特殊属性【境界】を取得。…このログは秘匿されます。]
世界が変わった所で、生き方が変わる訳ではない。 戒堂律人 @ritsuhito-kaidou
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